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人生に遠回りはない

合同会社エスプリ
吉丸 忠司 代表

  • 2023/9/11
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現在に至るまで

神戸で修行された際、一番大変だったことは何ですか?

 通常、修行といえば18歳や20歳といった若い年齢から始める方が多いです。それに対して私は30歳を超えてから現場での修行を始めました。

 若い頃からこの業界に入り、つらい修行を乗り越えてきた経験があるシェフたちからすると、私のような年齢での挑戦は前例がなかったのでしょう。
 そのため、少しでもだめだと思われたら職人たちが指導をしてくれなくなり、仕事ができない人はいらないと言われるような厳しい世界で大変でした。

 パティシエに対して、多くの方が楽しい雰囲気の中で仕事ができるというイメージをもっているようで、よく「ケーキ屋さんの厨房って楽しそうですよね」と聞かれますが、実際には職人の世界ですから、厨房の閉ざされた中で働くことは簡単ではないです。

最初に北条にお店を構えられたそうですが、北条を選ばれた理由をお聞かせいただけますか?

 北条を選んだ背景には、都会でおいしい食べ物を食べたとき、心の底から感動したという経験が影響しています。

 都会の方々はおいしい食事を楽しむ機会が多くあると思います。一方で、地方の方々はなかなかそうした経験ができないまま人生を終えるケースが多いように感じていました。
 この違いを感じる中で、私自身が地方の方に、私が感動したおいしいものを提供することで、少しでも多くの人々の人生を豊かにしたいという思いが芽生えてきたんです。
 この想いが、故郷である北条での開業を選んだ理由の一つです。

 また、都会と同じレベルの味わいを追求することには、とことんこだわりました。
 コストを削減して味を損なわせるのではなく、高品質な商品を提供することをいつも大切にしていました。

清水町への移転を選ばれた背景と、その際の想いについてお聞かせいただけますか?

 清水町への移転を考えた背景ですが、北条で6、7年経営していく中で、マーケットの規模の問題を考えさせられました。
 北条での開業は、地域における唯一のケーキ屋のようになるため、子供からお年寄りまで幅広い層に喜ばれるお店を目指すことが求められます。もちろん、多くの世代に喜んでもらえるケーキ作りをすることにもやりがいを抱いていました。

 しかし、私が神戸での修行で学んだスキルは、大人向けのケーキです。実際、週末には私の大人向けのフランス菓子を求めて松山から来てくださるお客さんもおられました。
 自分が本当に求められていることとは何か。この葛藤の中で、私は自分にしか作ることのできないフランス菓子を松山で、より多くの方に提供していこうと決心しました。
 そこで、清水町での新たな挑戦を始めることに決めました。

今までで一番喜びを感じた時のことを教えてください。

kijinaka-esprit 神戸での修行時代は大変厳しく、納得のいかないことで叱られたり、つらい経験をすることが多くありました。
 そんな過酷な修行を終え、自分の店を開業し、自分の手でケーキを作りお客様に提供するようになって、お客様が「この前食べたケーキ、とてもおいしかったよー!」と言ってくださりました。
 この瞬間、私は初めて「この仕事って楽しいんだ」と感じました。

 修行を重ねる中で、苦労と向き合いながら努力してきましたが、その中で初めて、自分の作ったケーキで人を喜ばせることができる幸せを実感しました。それが一番の喜びでした。

次のページ『ケーキへの情熱』

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会社概要

社名:合同会社エスプリ
代表名:吉丸 忠司
住所:愛媛県松山市清水町3-64-3
TEL:089-908-8855
事業内容:・小売業/卸売業

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