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「やりたいことを貫いてほしい」
Dog For Life Japan
砂田 眞希 代表
- 2016/5/13
ペット事情の日米差!?
「犬の本当の姿」に目を向けるアメリカ
日本とアメリカでギャップを感じたことはありますか?
ありますね。一番違うのは犬に対する価値観です。犬は友達であり、犬には人格があることを彼らはよく知っています。これは日本人とかなり対照的です。
アメリカ人は、犬は泥遊びが好きで家に上がって家具をドロドロに汚したり、テーブルの上のご飯をつまみ食いしたり、家を破壊したりする動物なんだということを理解しています。
映画の中にもそのようなシーンがたくさんあるのですが、実はこれが犬の本当の姿なのです。犬は悪戯好きなんだよ、という側面を知り、そこから犬と知り合っていくと、この子たちがやっている行動をより理解でき、共感できるようになるのです。
日本人だと汚い!いやだ!やめてー!から入るので、そこのギャップはすごかったですね。
そのようなギャップが介助犬導入の障害になってるのでしょうか?
それもあると思います。日本だと「盲導犬神話」というものがありまして、「吠えない・噛まない・トイレをしない」という認識が盲導犬に対して抱いている人が多いですね。
吠えますし、怖いことがあると噛みますし、生き物なのでトイレをしないなんてありえないですよね。でも、それが神話のように語られており、それらをしている盲導犬はダメだという風潮があります。
海外だとなんらかの事情で補助犬が吠えたり、トイレをしたり、多少毛が舞ったりしても、「犬も生き物だから」と理解してくれます。
なので障害者の方が持っているプレッシャーが全く違います。補助犬の使用者さんが社会に出ると、世間からとても厳しい目で見られるんですよね。補助犬はいつも完璧じゃないといけないと。
犬の社会化という概念も日米で違ってくるのでしょうか?
社会化そのものは一緒です。社会化とは、沢山の人に触ってもらい人馴れさせたり、様々な場所に連れて行って音や匂いなどに慣らしていくことです。
犬が健全に育つために人間がしてやらなければいけない教育は世界共通です。ただ、日本人は犬に教育しなくてはいけないという意識が外国に比べて低いのです。
なぜそのように考え方が違うのでしょうか?
文化ですね。日中は犬は庭にいて、夜は自宅の中に入ってきて、一緒にソファに座ったり、食卓のテーブルの下にいたり、一緒に寝たりするのが普通です。海外は土足文化なので、犬と一緒に生活することが当たり前なんですよね。
犬をしつけて一緒に暮らすことが当たり前の海外と、犬を室内で飼い始めたのはここ20年ほどの日本では、文化に大きな違いが生まれてきています。
また犬に指示をして、飼い主の思い通りに動かすといった文化も日本にはあまりありません。自分が気が向いたときにじゃれあって、あとは家の番をしておいてね、という付き合い方が長かったので、本当に犬達にとって何が幸せなのかは考えてないかなと思っています。
犬はとても人間っぽいんです。一時期ハリウッド映画で流行ったのが、刑事物のドラマで、相棒の犬と一緒に事件を解決していきます。
人生相談してみたり、ドーナツを分け合ったりしたり、犬を一人の人格として接しているシーンが多く出てきます。日本だと話しかけはするものの、一つの人格者としてはみてはないのかなと感じています。
この映画・ドラマを見ると アメリカの犬への見方がわかるよ、というものはありますか?
一番大好きなのはトム・ハンクス主演の「ターナー&フーチ/すてきな相棒」という古い映画です。トム・ハンクスは潔癖症の刑事役で、フーチは大きなボルドーマスティフです。その二人が犯人を追い詰めていくという話です。
最初は「汚い犬だ!」とフーチを蔑んでいたトム=ハンクスですが、共同生活をしていく中で、フーチと少しずつ心を通わせていき、いい相棒になっていきます。
日本の映画は飼い主さんを待つ犬など「犬はいい子」というイメージを受けるものが多いように思います。 映画もそうですが、犬をパートナーとしてみる文化があるからこそ、補助犬の育成も盛んなのだと思います。
補助犬の育成に日米差はありますか?
補助犬の育て方は日本とほぼ一緒ですね。訓練士さんがいて、訓練していくスタイルです。補助犬と一緒に生活したい希望者が現れたら、その方とマッチンングして、育成していきます。運営はほぼ寄付です。日本は寄付文化がないので厳しいですね。
介助犬・聴導犬の育成と並行して、家庭犬の訓練をされているとのことでしたが、犬の介助犬・聴導犬育成費用は寄付で賄っています。県が補助犬給付事業をやってまして、愛媛県は年度で1頭給付金がでます。
当協会が育成した愛媛初の聴導犬は県の募集要項に該当したのです。法律上、犬は補聴器や杖と同じ補助具という扱いになります。なので聴導犬育成代という名目で給付金を用いて訓練し聴覚障害者に提供することになりました。
松山市で介助犬・聴導犬を求められる人はどのくらいらしゃるのでしょうか?
年に一人から二人程度です。なぜなら、介助犬・聴導犬の実働数が少ないため障害者自信が存在を知らない現状があります。また、介助犬・聴導犬と一緒に生活したい希望者が現れても訓練した犬を「はい」と渡せるものではありません。
犬達と信頼関係を築くために、障害者の方も一緒に訓練をしなくてはいけません。補助犬育成にはいくつもハードルがあり、思った以上に手間とお金がかかります。
どんな方に介助犬・聴導犬を提供しているのですか?
ある程度、日常生活が安定し、その上で外に出て働いてみたい、もっと社会参加したい、自分でできることを増やしたいと思われている方に提供していますね。現在の生活が安定しており、人生をより楽しみたい!という方にとって、補助犬は人生の良きパートナーになると思います。
育成協会によって補助犬を貸与する方針は違いますが、私は積極的に外に出て行きたいという人には特に補助犬と暮らして欲しいと思っています。しかし補助犬達は万能ではありません。
例えば、介助犬は、おしぼりを拾えても開けられませんし、ペットボトルも持ってこられても蓋はヘルパーさんに開けてもらう。などできることは限られていますが今までヘルパーさんに10してもらっていたことを、犬と自分で3できるようになった。自分でできることが増える事が障害者の自信につながります。それを介助犬との暮らしを通して得て欲しいんです。
また補助犬は障害者と健常者のコミュニケーションためのクッションのような存在でもあります。健常者は障害者、特に初対面の場合その人の障害に目線がいってしまいます。障害のある方は身体目線には敏感です。
でもそのような時に介助犬がいると、そちらに目がいくようになり嫌な視線から解放されます。健常者が障害者と何を会話していいのかわからないという状況でも、犬の名前を聞いたり、自分の犬の話しをするなど共通の話題を補助犬が与えてくれるのです。
会社概要
社名:Dog For Life Japan
代表名:砂田 眞希
住所:〒790-0914 愛媛県松山市三町3丁目3-26
TEL:080-2021-1403
WEB:http://dogforlife.org/index.html
事業内容:・サービス業