音楽に人生をかける

音楽で生きていく

音楽を始めたきっかけを教えてください。

　私はサッカーで高校に進学しました。１７歳まで一生懸命サッカーをしていましたし、サッカーで生きていこうと考えていました。
　しかし、１７歳の時に様々なことがあり、思い切ってサッカーをやめることにしました。

　そう決めた時は本当に苦しかったです。そんな時にアコースティックギターを弾く機会を頂き、私は音を鳴らそうと楽器を抱えました。アコースティックギターを弾くのはその時が初めてだったのですが、弾いてみると音が体中に響いて自然と涙が溢れ出してきました。
　その日は一晩中泣き続け、気が付けば朝になっていました。その時に「私はこれで生きていこう」と決意しました。

ギターを始めてからはどのような学生時代を過ごされていましたか？

　１７歳の時は高校に通いながらギターの練習をするという生活でしたが、１８歳頃から私は自活しなければならなくなりました。
　その時に縁あって師匠になる方と出会い、その方のお店で31歳まで働かせて頂きました。昼間は学校に行き、下校後は夜中までお店で働くという生活で、仕事とギター練習以外はしませんでした。
　22歳までは毎日その繰り返しだったので、大きな転機になったこと以外はほとんど覚えていません。そのような学生時代を過ごしました。

その後、なぜ経営者になられたのですか？

　31歳まで師匠のお店でお世話になっていたのですが、様々な理由からお店を離れることになりました。
　一生懸命働いてきたお店を離れ、自分でお金を稼がなければならない状況になり、それならば「お店をやってみよう」と思いました。その際、前のお店でお世話になっていたお客さんには声をかけず、別の繋がりのあった先輩方にお店を経営するなどの技術面を教えて頂きました。

　半年ほど先輩方のお店や現場に入らせて頂く中で多くの事を習得し、このお店の準備にも取り掛かりました。
　そうして私は経営者になりましたが、やはり今になっても自分は経営者というよりもプレイヤーの気質の方が強いと思います。しかし、今年の２月でYAH MAN33も15年目になるという所まで経営してきました。

起業するにあたって苦労したことを教えてください。

　１つ目は「物件探し」に苦労しました。
　音楽をすることを前提で物件を探しており、音楽ライブを日常的にできる場所にしたかったので、人が集まれてトイレが二つあるという事が最低必須条件でしたが、その条件に当てはまる場所がなかなか見つからず、知り合いに相談しました。
　そうすると現在の物件が空いており、その方がオーナーに聞いてみてくださりました。

　しかし「この物件は企業にしか貸しません」と言われて断られ、他の物件も探していましたが、他に良い物件を見つけることができず、やはりこの物件を諦めきれませんでした。そこで２日に１回オーナーさんの所へお願いに行く事を２か月間繰り返しました。
　その結果、オーナーさんが「あなたの根の強さには負けた」と言って、貸してくださることになりました。

　２つ目は大工さんの手配や内装などの「お店作り」、３つ目は「スタッフを育てること」に苦労しました。
　今でこそスタッフと上手に付き合えるようになりましたが、もう少し割り切ってスタッフに接してあげたらよかったなと思います。今は嫌な押し付けではなく、納得できるような押し付けができるようになりました。

　私のお店は私の道を実現する場所であり生きていくための場所でもあるので、自分のやり方というものは大事です。それを上手に伝えることが難しかったです。
　しかし、一生懸命に向き合ってきてくれたスタッフ達が今は違う場所で成功し、ここで教わったことが役に立ったと言ってくれているので、それも間違ってはいなかったのだと思います。

人生のターニングポイントはどこですか？

　１つ目は最初にもお話したサッカーをやめたこと、２つ目は以前働いていたお店でラジオ番組をさせて頂いたことです。
　ラジオ番組では大きい意味での責任はラジオ局が取ってくれますが、現場での振る舞い方や番組の組み立て方・発する言葉などの側面においては番組を受け持つ者に責任があり、それを実感しました。

　３つ目は良い歌を自分の中で消化できた時です。
　代表曲で言うならばYAHMAN33の屋号にもなっていますが、美空ひばりさんの「愛燦燦」です。６年程かかりましたが、ある日突然自分の中で消化できました。
　その時は自然と見える風景が変わりました。これが自分の中の一番のターニングポイントだったかもしれません。隣の芝生を見ず、一生懸命に生きているとこのような経験をすることがあります。

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