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「頭で納得できて、心で共感できる感性が大切」
NPO法人 家族支援フォーラム
米田 順哉 代表理事
- 2015/10/8
覚悟を決める、ということ
NPO法人の運営の際に苦労されたことはありますか?
当時の法律では、障がい者の人たちと商売をすることは難しいことでした。そこで、松本と相談して新たな会社を立ち上げて別の商売を始めようと考えていた矢先に、自立支援法という法律ができました。自立支援法を読み込んでみると、この法律を使えば、障がい者と一緒に飲食店を経営できるということが分かったのです。
この店(ゆるり茶屋 夢家)も自立支援法の就労継続支援事業B型という制度で成り立っています。自立支援法は法人にとって大きな規制緩和となりました。自立支援法が出来てからはNPO法人がグループホームを持つことも比較的容易になりました。
そのような時に松本と私は「パンドラの箱を開けちゃったね」という話をしました。今まで、見たことも聞いたこともないような状況が次々と出てくると思ったのです。
施設の問題としては、利用者同士の恋愛の問題があります。私たちは利用者間の恋愛や性の問題には基本的に関与しません。しかし、過去に2回ほど安易な考えから性的関係を持った利用者達が子供を流産や堕胎させてしまい、私たちもどうしようかと半年間話し合いました。その結果、恋愛関係や性的関係が発覚した際に、避妊具や避妊薬の指導や相互に出産・育児の意思があるかどうかの確認をすることになりました。そのような中、2組が結婚し、そのうちの1組はできちゃった結婚です。そのカップルは去年の11月に出産し夫婦と法人で子育てを行っています。
私たちは「衣食住・働く・楽しむ」の3つに特に力を入れています。これらは、どれかが1つ抜けると他の2つも実現することができません。楽しむということには、当然利用者の恋愛、結婚も含みますし、家族ができれば衣食住が重要になります。そして、働くことで人から求められ自己肯定感が生まれ、反対に人を頼ることで社会性が育まれる。ですから3つの内の1つも手を抜くことができないのです。
しかし、苦労することばかりではなく障がい者の人たちから教わることも多いです。お店を回す時にピークの時間が12時〜1時なのですが、障がい者の人逹で回すのは難しいと考え、最初はピーク時のみパートの人に入ってもらっていました。
しかし、ある時にパートの人が火傷をしてしまい働けなくなりました。仕方なく、障がい者の人たちにお願いをしてピークの時間帯に働いてもらったのですが、彼らは淡々と仕事をこなしていたのです。驚きましたね。それまでの私は彼らの力を信じていなかったのでしょうね。
今後の事業展望はどのように考えていらっしゃいますか?
これまでやってきたことの質を高めることが大切だと思います。障がい者の恋愛や子育てといったことに対する質の獲得が大切だと考えています。また、これから20年後、30年後、今の利用者が高齢化していきますので、そういう人たちの仕事、暮らしの場に関する対応が必要になってきます。
ライフサイクル支援というのは、今の20代が高齢者になった時に面倒をみるのは当然のことですが、今年新卒で入ってきた人がすることではないです。今から二世代、三世代後の人が今の20代の人を支援することになります。
そういう意味では、後継者育成も含めて永続的な組織を作らなければならないと感じています。それができないと、やりたいことがあったとしても絵に描いた餅となり、何もできないまま終わってしまいます。
また、前例がないことでも必要な要素をとにかくやる、ということを大切にしています。「覚悟を決める」ということですね。法人を作って以来、覚悟を決めてやってきました。
会社概要
社名:NPO法人 家族支援フォーラム
代表名:米田 順哉
住所:愛媛県松山市姫原2-3-21
TEL:089-924-8989
事業内容:・医療業/福祉 ・NPO/NGO