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「たくさん経験を積み、自分を高めていってください。」
アジアンバー 阿龍
佐々木 孝二 代表
- 2015/11/12
サービスのプロは「キッチン」と「お客様」の双方を大切にする
「オーナー目線」のサービスと「お客様目線」のサービスについて、もう少し詳しくお聞きしてもいいですか?
オーナーが現場に「お客様の要望を聞くように」と指示を出しても、「現場でそんなことをしたら、店が回らないからやらない」と現場リーダーがオーナーの方針に従わないこともよくあります。
私自身はお客様優先でサービスしています。お客様が次どうするのか常に考えないと、ベストなタイミングでサービスをすることができなくなってしまいますからね。その心構えは「阿龍」開業以前も同じで、勤め先の飲食店ではサービスのタイミングを見逃さないように、常にお客様のことを観察していました。ただ、端から見ると「ぼーっと」しているようにしか見えなかったみたいです(笑)
「なんで佐々木君だけぼーっとしてるの?」と言われるので、「あ、それなら僕、洗い物しますね」と言って渋々キッチンに入って業務をしていると、お客様へのサービスのタイミングを逃してしまった、ということがよくありました。
サービスのタイミングを工夫することで、どのような効果が生まれるのでしょうか?
タイミング、というのは次の料理を頼むかどうかの見極めですね。例えば、お客様に料理を出したタイミングで、少し料理の話をすると、その料理に対する印象も少し上がりますよね?
テーブル接客では、数字では表せない「見えないプラス」を積み重ねることができます。私はそれを狙って、サービスを提供していました。数字化できない「見えないプラス」は、リピーター獲得やお店の評判向上につながってくる大切なものです。それを教えてくださった先輩方が自分の周りには多かったですね。
お客様へのサービス一つでテーブルの売り上げが上がることもある、ということでしょうか?
そうですね。それもあります。一番の効果はお客様目線のサービスを継続すれば、お客様に「自分にとってオンリーワン」と思ってもらえる点です。そうするとお客様も気持ちよくなり、店舗へのリピートに繋がっていきます。
いい意味でお客様のわがままに答える。すべての要望を聞くことはできませんが、「その代りこれならできますが、いかがいたしましょうか?」と要望を聞こうという姿勢を見せれば、お客様の印象も上がります。それをするか、しないかの線引きがサービス提供の上では大切になってきます。
今までのお客様からの最大のわがままは何でしたか?
実はそこまでの無理はないです。話を通すまでもなく、自分のところで要望をストップします。例えば、食材や調味料がない、とかですね。それを料理長にお願いしたら「できるわけないだろう」って怒られますからね(笑)
キッチンにある食材、調味料でアレンジがきく要望であれば、料理長をどう説得して、その要望を叶えるかを考えます。
フロアの人でもキッチンの中に食材、調味料など、何があるのか把握することがすごく大事になってきます。
なのでお客様にプラスのサービスをするにあたっては、料理長とのコミュニケーションが大切になってきますね。
お客様の要望を伝えに「ニヤッ」としながら厨房に入っていくと、「何?」と料理長が突っ込んできます。そこで普段の人間関係や相手が何を求めているのか、料理長へのお願いの仕方も大切になってきます。「料理長、お客様からこう言った要望が上がっているのですが、どこまで要望に応えられますか?」など、何だったら要望に応じられるのかを丁寧に聞いていきます。
お客様と料理長、双方の関係を考えながら仕事をされているのですね。
料理長の意向を聞いた後は、「全部はできないのですが、ここまでならできます、いかがですか?」とお客様に伝え、サービスをします。そうするとお客様も「自分の無理を聞いてくれた」と感じ、お店やスタッフに信頼が生まれる。スタッフは料理長とも信頼ができる。コミュニケーションを工夫することで、双方にとっていい結果に結びつきます。
逆にスタッフ同士の連絡が行き届いていなくて、起きるミスもあります。分かりやすい例ですと、誰かがあるお客様のテーブルにドリンクのお代わりがいるかどうかを聞きに行き、「お代わりが欲しい時は呼ぶね」と言われたとします。しかしこの情報をスタッフ間で共有できておらず、別のスタッフがドリンクのお代わりを聞きに行ってしまいました。するとお客様は「呼ぶまでこないでと、さっき言ったよね」と言われ、気分を害されて帰ってしまいました・・・
飲食の世界では、そんなことがよくあります。連絡の周知、徹底はとても大切です。サービス力の高いお店は、それらの点が洗練されていますね。ちなみにサービスの質はお店のグレードや料理の単価とあまり関係はないです。普通の居酒屋さんでもサービスが徹底されていることもありますし、逆に高級店でできていないところもありますね。お料理が高級、リーズナブルは関係なく、そのお店でちゃんとサービスが徹底されているかどうかは大切です。
世代ごとにサービスのギャップはありますか?
世代でギャップはありません。しっかりサービスの勉強をされてきた方はお互い自然と通じ合うことがでいます。何を学んできたのかが大切で、年上、年下は関係ありません。
どの職場、どの環境にいても学ぶことはできます。ただ、教えてもらえたことは非常に少なかったですね。唯一、今でも松山でマスターをされている方には仕事や心構えについて教えていただきました。その人は今50代くらいだと思います。うちのお店はこうだよという作業についてはどこのお店でも教えていただくことはありますけどね。私自身は、すべての企業、すべてのお店、すべての人から学んできました。
その人なりのやり方、それぞれのキャラクターが違うので、同じ言葉、同じ所作、同じタイミングでサービスをしたとしてもお客様の印象は違います。
自分のキャラクターを知れば、どのようなサービスをすればいいのかわかってきます。経験上の勝ちパターン、お客様が一番喜んでくれる方法、色々な成功体験の積み重ねで、自分の形が決まってきます。もちろん勝ちパターンもあれば、失敗パターンもありますけれども(笑)
働いていく中で、現場の先輩方からどのようなことを学ばれたのですか?
諸先輩方からは、作れる作れないは置いておいて、知識としては知っておかないといけないよ、と言われていましたね。ちゃんと色々な良いものを自分の財布を痛めて、食べて、学んでおくことも必要だ、とも言われました。
昔ながらの飲食店のオーナーさんやマネージャーさんは、美味しいものを食べて舌を鍛えることで知識や経験を得てきましたので、自分の財布を痛めて、いいものを食べなさい、とよく言ってくれます。
会社概要
社名:アジアンバー 阿龍 (アロン)
代表名:佐々木 孝二
住所:愛媛県松山市二番町1丁目9-4T-YOUNG ビル 4F
TEL:089-945-6055
URL:http://a-long.bar
事業内容:・宿泊業/飲食業 ・サービス業