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「仲間に感謝」あたり前にいることの大切さ
株式会社 pupa CREATIVE GROUP
松林 賢也 代表取締役
- 2015/1/13
大河原
それでは、インタビューを始めさせて頂きます。
よろしくお願い致します。
松林代表のお店は、理容室と美容室、どちらになるのでしょうか。
松林
敢えて言えば、理美容室経営になります。
一般に理容と美容は区別して考えられていますが、それを取り払ったグルーミングサロン的なものを今、展開しているので、理容美容という言葉はあまり使わないようにしています。
大河原
なるほど。
松林代表がグルーミングというか、髪を整えることに興味を持ち始めたのは、どのようなきっかけがあったのでしょうか。
松林
私は、小中高と野球をしていたので、必然的に丸坊主にしていました。
その反動なのか、髪でおしゃれをすることにも大変興味があり、将来は理容美容のジャンルは問わずファッションに関わる仕事をしたいと考え、進路を選ぶときに理・美容師を養成する学校に入ることを決めました。
大河原
日本では理容師と美容師では課程が別れていますが、最初はどちらに進まれたのでしょうか。
松林
当時はカリスマ美容師ブームだったこともあり、私も美容科を希望しました。
美容院というと女性向けのイメージが強いのですが、その当時は私の中でメンズとレディースを区別する気はなく、むしろ自分が男性なので、自分の髪を触るということで、まずはメンズというのがすごく強かったです。
大河原
男女分け隔てなく、髪を整えられる仕事を目指しておられたのですね。
カリスマ美容師ブームの当時は、そういうお気持ちでヘアグルーミングの世界を志されている方は結構多かったのではないかと思いますが。
松林
やはり当時は多かったですね。
ですが今現在のヘアサロン業界は人手不足と言われていまして、ブームの反動からかマイナスのイメージが広まってきているのかなと思います。
そこで、「グルーミングサロン」という、より広い、色々なジャンルを取り入れた分野を確立して行きたいと考えています。
大河原
なるほど。
これまでの理容美容という括りを取り払って「グルーミングサロン」ということを最初に考えられたのはいつ頃なのでしょうか。
松林
もう9年前のことになります。
松山市内のお店で修業していた時に、自分の中でデザインコンセプトが出来上がっており、実現できる組織・集団を作りたいなと夢見ていました。
ですが私一人ではできないことですし、修業時代から人の大切さを感じていて、私の想いに共感し共有出来る仲間と出会ったことで、独立に踏み切りました。
独立した時点で、総合的なグルーミングサロンとして展開したいという考えはありましたから、メンズとレディースを両方一緒に立上げて、お互いの店舗も中で繋げてスタッフが行き来できるようにしたのです。
また、理容室でないと剃刀が使えないなど、法律的な制約がありましたので、メンズは理容、レディースは美容で開設届けを出しているのですが、女性のお客様でもメンズのお店に来てエステも出来るという環境を作りました。
大河原
理容室と美容室を行き来できるのはユニークな発想だと思います。
松山はファッション等の流行が東京や大阪よりも遅れてくるという印象があるのですが、もしかしたら、松林代表がこのグルーミングサロンということを考えたのも、他の地域で同じような試みがあって、それに影響されたりしたのかとも思いました。
松林
そうですね、東京には勉強に行っています。
大河原さんはインドネシアに行かれたということですが、私も昔海外に行ったのがこのデザインコンセプトを考えるきっかけの一つだったのです。
その時に、外から日本を見たことで、どこでも活躍の場所は一緒だなと思いました。
東京でも松山でも、それぞれに市場があり、また難しさもあるでしょう。
下手したら東京よりも地方の方が成功するのは難しいかもしれないとか、色々なことを考えるようになりました。
とはいえ、日本のファッションの発信地は東京なので、日本でグルーミングサロン的な考え方が最初に誕生したのもおそらく東京だと思います。どこかでその言葉を耳にして、自分が勉強していることと合致したという可能性はあるでしょうね。
大河原
開店当初は、女性は美容室・男性は理容室という固定観念がまだ強かったと思いますが、その中でどうやって、このお店を続けてこられたのでしょうか。
松林
固定客を掴む難しさも確かにあったのですが、人間関係で苦労をしました。
開店時もスタッフはいたのですが、長続きしないことがよくありました。
スタッフがいなくなると、それまでいらっしゃっていたお客様に十分なサービスが提供できなくなりました。
そうして孤独を味わった時に、人って大事だなとすごく感じさせられました。
大河原
そこで孤独を味わったことで、改めてスタッフを大事にすることの大切さに気付かれたのですね。
松林
「スタッフの安定はお客様の安定、技術の安定は売り上げの安定」という考えが私の中にあって、いいスタッフとどう巡り合うかということについては非常に悩みました。
こればかりは面接して、一緒に働いてみないと判らない部分があり、様々な方と出会っていく中でようやく今の仲間たちと巡り会うことが出来ました。
これはぜひ書いて頂きたいのですが、「仲間に感謝」という気持ちが私の中で一番強いのです。
仕事ができてお客様がいらっしゃって売り上げが伸びる、これは私一人の力では出来なかったことで、朝元気に「おはようございます」と言ってきてくれる、その当り前のことがすごく新鮮なのです。
他人から見ればスタッフなので働いて当たり前かも知れません。
ですが私にとっては、毎日出勤してくれるのはとても有難いことですし、一日の終わりには「今日は有難う。明日もよろしくね。」という言葉を欠かしたことはありません。
大河原
「有難う」は、とても素敵な言葉ですね。
松林
はい。
経営者だからといって上目線になるのでなく、同じ目線で物事を考えていきたいというのが今のこのpupa hairの考え方なのです。
今は、スタッフに対しては割と言いたいことを言っています。
でも過去に辞めていったスタッフに対しては本当に遠慮して、「これを言うと嫌がるかな」と考えてしまっていた自分がいました。
大河原
スタッフに去られるのが怖くて、強く出られなかったということでしょうか。
松林
はい。
それがかえって自分のいいところを出せない原因になっていたのだと思います。
今では、年に2回、スタッフ達と小田深山で合宿をし、そこで熱い夢を語っています。
その他にも私が音頭を取ってイベントをしていますが、皆さん気持ちよく乗ってくれるので、これは本当に感謝です。
大河原
会社によっては自由参加といっても強制に近いというようなこともありますが、本当にスタッフの方が心から賛同してくれるのは有難いことですね。
松林
そう思いたいですけどね(笑)
昨日のスタッフと常連客の集まりでも感動しすぎて大泣きしました。
お店を支えるとか付いて行きますという言葉を聞くと、自分よりもスタッフを幸せにしたいなと思います。
これを綺麗事だという方もいるかもしれませんが、それでも構いません。
何事もまずは口に出して言うことから始まるし、私自身はプラスのことを口にして実行していく、そんな人間になりたいと思っているだけなのです。
私は毎日スタッフに対して夢を語っています。
その一つがバリ島に行くことでしたが、今年(2014年)はとうとう、スタッフたちを連れてバリ島に行くことが出来ました。
本場のマッサージを見て体験をして欲しかったのです。
それから大河原さんならわかると思いますが、向こうの人の笑顔って素敵じゃないですか。
そのようなことも現地で味わって体感して、日本にサービスを持ち帰って雰囲気を提供していきたいと思います。
これからのヘアサロン業界は、ただお客様の髪を切って終わりではないと思います。
ファッションを通り越したお客様の癒しの空間を作り上げていかないと難しいのではないでしょうか。
大河原
確かに、ただ髪を切ってもらうだけでなく、空間全体で心もリラックス出来ればとても嬉しいことだと思います。
松林
もちろん、お客様に満足して頂くことは一番大事です。
ですがそのためには、まずスタッフを大事にして満足してもらわないと顧客満足には繋がらないと思っています。
我々の仕事はお客様の体に直接触れます。
その時に悩みを抱えているスタッフだったら、顔は笑っていてもお客様には何かあったなと勘付かれます。
そのようになる前に、スタッフと「君の夢は何だっけ」などと話すことで、お互いワクワクします。
会社としての夢も、やりたいことも沢山ありますし、また今年もバリ島に行きたいと思っています。
大河原
私も、夢やしたいことの話をすると、気持ちが上向いて態度にも現れると感じることがあります。
仕事へのモチベーションも上がりますね。
ところで、バリ島には毎年行かれるのでしょうか。
松林
私は3年ぶりだったのですが、これからは出来るだけ毎年行きたいですね。
あちらにも知り合いが増えてきて、行くのが楽しみになってきました。私はしたいことだらけなのです。
大河原
なるほど。
他にスタッフさんとのコミュニケーションで気を付けていることは何かございますか。
松林
お客様からしてみれば技術はあって当たり前なので技術指導はしていますが、挨拶が出来るとか笑顔でいられるとか、そういう当たり前のことを出来る方が技術以上に大事です。
技術を2時間3時間だらだらと練習するよりは、30分夢を語った方がよほど熱くなります。我々はそんな会社なのです。
その上で、スタッフと接する時に私が気を付けていることは、「夢を与えること」だと思います。
大河原
夢を与えることですか
松林
はい。この仕事に対して夢を持ってもらいたい、美容の業界を選んで良かったなと思ってもらいたいのです。
この松山でも、ヘアサロン業界で辞めていく人の話を多く聞きます。
私の経験からも、「辞めるな」「辞めないでくれ」と言うほど、人って辞めちゃうんです。
ですが、辞めたくない会社づくり・雰囲気づくりの根底はコミュニケーションを取ることだと思っています。
大河原
なるほど。確かに小田深山しかり、皆さんとても楽しそうにしていらっしゃるように感じました。
これからのサロン業界・グルーミング業界は、ただ髪を切るだけではなくお客様の癒しの場にならなければいけないとおっしゃっていましたが、その癒しの場を実現するために、今現在最も力を入れて取り組んでいることは何かございますか。
松林
まず一番に考えているのは、専門分野ですね。
ヘッドスパであればヘッドスパニスト、エステであればエステティシャン、ネイルはネイリストなど、スタッフ一人一人が専門分野を確立して、プロの技術をお客様に提供していきたい、その想いも込めてグルーミングという言葉を選んだのです。
まだ全然辿り着けてなくて、今から一歩ずつ作っていくのですが。
目の前の売上げに囚われず、本物の技術を提供したい、そういう場を作っていきたいと思っています。
一番実現したいのは、本当にできるかどうかわからないのですが、本場バリ島のマッサージですね。
バリ人の女性が松山でマッサージをしてくれるサービスを作れたら嬉しいです。
大河原
そしたらお店の一番の目玉になりますね。
松林
名物ですよ。なにしろ本場の方がするわけですから。
当店のデザインコンセプトはバリ島をモチーフにしていますが、癒しの空間を作る工夫としては、実際にバリに行って現地の雰囲気を体感する事が必要不可欠です。
すべきことにはお金と時間を投資しないと絶対に駄目です。
お店を閉めてバリに行くということは、休んだ分だけ売上げが減るということですが、それでもそういう時間を私は作りたい。
出来るか出来ないかじゃなくて、するかしないかの問題です。
大河原
なるほど。
私は結構、しようと思っても実行に移せないことが多くて、そこでつまづくことが多いのですが。
松林
一人だと、どうしても「これぐらいでいいか」となってしまうことが確かにあります。ですが、それも仲間がいたらできます。
というのは、仲間に向かって言ってしまえば、自分が実行しないと示しがつかないのです。
だから私は2015年の目標を、スタッフやお客様の前で発表しました。今年の年末に実現していなかったら、「大嘘つきじゃないか」と言っていいとまで言いました。
私一人だけだったらバリ島には行かなかったでしょう。ですが、仲間がいて色々な考えがあるから、色々な発想が出るのです。
だからもっともっと多くの人と出会っていきたいし、pupa hairを知って頂きたいと思っているのです。
大河原
夢のことや仲間の大切さなど、熱い想いを語って頂き、有り難うございます。
ちょっと意地悪な質問になるかもしれませんが、もしここで働いていらっしゃるスタッフさんが、ここでは自分の思い通りの仕事ができないと解って自分のお店を持ちたいと言われたら、松林代表はどうされるのでしょうか。
松林
それは全然構いませんね。「独立は夢見ていい」とスタッフには伝えています。
この業界、皆そういうことを夢見て頑張っているはずですし、スタッフが独立したいと言ってきたときは、私は素直に応援したいと思っています。
ただ、それ以上に、この会社を大きくして、スタッフに対してアドバイスを出して、どの道が的確なのか選択できるようにしたいとも考えていますし、スタッフに辞められて困るのではなく、次の若いスタッフが必ず上に上がれる仕組みを作るのも私の仕事であり、使命であると思います。
本音を言えば、その時に、「やっぱり松林さんと働きたい」と思えるような人間になりたいので、今は人を信じてワクワクしながら夢を与えていくことかなとは思っています。
大河原
有難うございます。
松林
これを毎日話しているのですよ。
お客様からも、よく「スタッフさんって独立しないの」と聞かれることがあります。これは他のオーナーさんの中にはドキッとする方も沢山いるのではないかと思いますが、私はそうなってもいいように普段から伝えています。
大河原
松林代表もそういう想いで続けられてきたからこそ、スタッフの方にも恵まれて9年目を迎えられたのではないかと思います。
松林
有難うございます。まず自分が伝え続けて、し続けることだと思います。
上の者が、間違ったことは素直に謝る、してくれたことに関しては有難うと伝える、私はこれだけでコミュニケーションは十分に取れると思っています。
今まで人の話ばかりしてきましたが、人の繋がりは本当に大切なことだと考えています。コンテストで入賞するなど、結果も大事ですが、そこに至る過程の方が大事だと私は思っています。
というのは、会社を10年間経営してこられたとしても、来年再来年にはどうなるかわからないものです。
今一番下の子でも、新しくスタッフが入れば先輩として教える立場になる事を考えて、15年、20年、先を見据えた経営努力を常日頃から考えておくべきです。
それも仲間がいればこそ色々なことに挑戦できるのであり、そのような仲間に感謝したい気持ちでいっぱいです。
大河原
なるほど。他に、松林代表のターニングポイントがありましたらお教え頂きたいのですが。
松林
それはやはり独立、と言いたいところですが、独立はゴールではなく、一つの通過点でしかありません。
むしろ、独立したことで色々なことに頑張らないといけないという想いが強くなりました。
ターニングポイントとしては、人生を左右する出会いは本当に数えるほどしかありませんでした。
まず一つは今の奥さんとの出会いだと思います。
奥さんも美容師なので、お互い意見が言い合え、支えられる関係が出来たのは非常に大きいです。
もう一つは、3年前に三番町に3軒目を開いたことかも知れません。
いくらお金があっても、人がいなければ店舗展開はできませんから。
そのように、人との出会いは常にターニングポイントだと思っています。
大河原さんと出会ったことも何かのターニングポイントかもしれませんね。
大河原
そうですね、これから公私ともにお付き合いをさせて頂くかもしれません。
これを機によろしくお願い致します。
最後に、若者へのメッセージをお願いします。
松林
ありふれた言葉で申し訳ないですが、まず夢を持つこと、それからコミュニケーションをしっかり取ることですね。
大河原
本当に、夢をとても大事なものと考えていらっしゃるのですね。
松林
思うような結果が出ないことについて、技術が足りないからとか資格を持っていないからと言う人もいますが、頑張るからには夢を持つことが大事なのです。
何か夢を持って取り組むだけで、仕事へのモチベーションは全く変わりますし、環境のせいにするばかりではなく、自分が変われないと相手も変わらないということは解ってほしいです。
ここで、私はいつまでも少年の心を忘れないようにしているのです。
子供って何でも興味を持つでしょう。
時には親に怒られるぐらいに。
ところが人は年を重ねるごとに、「いい年してこんなことをして恥ずかしい」と思ったりしますよね。
大河原
確かに、そう思うことはあります。
松林
そうでしょう。
そういうことを取り払おうと思っているのです。
昨日もそうですが、私は大勢の前で堂々と嬉し泣きをします。
最初に子供がそれを見たときは心配されましたが、今では私が泣くとそれは嬉しいからだと解っています。
今はそのような、少年の心というか、何も考えずに興味を持っていられる気持ちを忘れないでいられる環境を作っている途中です。
40歳が夢を持てないなんてことはないのです。
興味を持つことも、夢を持つことも自由です。
頑張った人は認められるべきだと思うし、夢を持つことは何も恥ずかしくない、夢がない方が恥ずかしいという話を一番にするようにしています。
大河原
有難うございます。私も夢を持って、それに向かって努力していきたいと思います。
松林
それから一つ心掛けて欲しいことなのですが、「程好い刺激と程好い変化」です。
大河原
「程好い刺激と程好い変化」。それはどういうことでしょうか。
松林
どんな仕事も、毎日同じことの繰り返しだと思います。
我々だってそうです。シャンプーしてカットして「有難うございました」の流れです。
そこに夢や希望が無くなれば、すぐに飽きて辞めてしまうでしょう。
しかし、バリに行ったり小田深山に行ったりすることで、自分の夢を再確認できるのです。
先ほども言ったように、スタッフにカットを教えると同時に夢を与え続けるのも私の仕事だと思っています。
そしてそれについてきてくれる仲間に感謝です。
大河原
なるほど、夢を持つだけでなく、日常の中に刺激と変化を入れて夢を再確認するのも、モチベーションの維持を図るのに有効な気がします。私もそれを試してみようと思います。
本日は、とても貴重なお話を有難うございました。
インタビュアーより
乞うご期待!
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