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「自分に余裕がないと、人に優しくなんてできない」
studio paume
大森 絵美 代表
- 2015/3/30
産後ケア普及への想い
大河原
被害妄想ですか。
あまり想像できないです。
大森
それは無理のないことで、女性でさえも、自分がまさかそんなことになると思わずに産後に入ってしまうのです。
そして旦那さんも、奥さんの変化に気づかずにそれまで通りに話しかけて、余計こじれてしまったりするので、女性だけじゃなくパートナーの方も産後ケアについてしっかり学んで、産後の母親の「こういうパターンにはまりやすいんだな」ということを分かってあげることで、産後クライシスは回避できると思います。
中々難しいことではありますが、女性だけでなく男性に対しての産後ケアの周知活動もこれから注目されて行くべきだと思います。
セミナーはぜひとも夫婦で受けてほしいですね。
大河原
近頃は女性の社会進出とともに、イクメンという言葉が出来たように、男性も家事や育児に積極的に携わって行くべきだという論がありますが、そのような社会の流れの中で、産後ケアを夫婦で共に受けることはますます重要になってくると思いました。
男性としては、どのようなことに意識して産後ケアを学べばよいのでしょうか。
大森
その前に、産後の母親の身体の不調には、自律神経が上手く機能しなくなる事も挙げられます。
これを解決するには、メンタルコントロールだけでは限界があり、適度に運動をすることで自律神経の働きを調整して、しっかり眠れるようになることなどが大事です。
それとともに、母親の身体は妊娠から出産までの1年足らずの間にとても大きく変化していて、産後はその体を徐々に元に戻していかなければいけません。
ですが、現代の母親は、育児という母親の役割、家事という奥さんの役割、外で働いている場合はそのお仕事、町内会やPTAなどの社会的な活動など、担うべき役割が沢山あって、本当に大変なのです。
これらは男性がシェアしていかないと無理ですよね。
大河原
確かにそう思います。
特に育児や家事については、家庭の内部に直接関わることですから男性の協力が求められますね。
大森
やはり子育ては絶対後回しには出来ません。
特に赤ちゃんの時は命を預かっているので常に神経をとがらせており、母親は寝ながらも寝ていないという状態になってしまいます。
赤ちゃんの夜泣きに、父親が気付かなくても母親は気が付くという話もあります。
それが何か月も続けば、精神的に参ってもおかしくないですよね。
しかしこれは父親には理解できにくいことで、うっかり「横になって休んでいるのに何がしんどいんだ」と言ってしまうとよくありません。
大河原
確かに、それはすれ違いの原因になってしまいますね。
もし、産後セミナーを夫婦で受けられて、それから夫婦の育児に対する向き合い方が変わったらとてもいいことだと思います。
大森
講座をきっかけに旦那さんが奥さんの心身の変化や感じているプレッシャーを理解して頂けたら、私にとっても嬉しいことですね。
夫婦の協力が自然な形で出来るようになり、母親にしかできない仕事に父親が理解してくれるだけでも全然違います。
また、精神面だけでなく肉体面でも、産後の母親が自分の体をケアできないことによって、長い間腰痛等の体の不調が続き、体力も極端に落ちてしまいます。
ですから、産後ケアを通じて体力を回復させて、母親が子供と一緒に体をのびのびと使って遊んであげられるということは、子供にとってもとてもいいことになります。母親が心身共に不健康な状態にある事が産み出す不利益は本当に大きなものです。
子供にとっては、いつもイライラしていたり外で遊んでくれない母親は嫌だろうし、旦那さんも奥さんの笑顔がないと不安ですから、まずは母親自身が家族や周囲からありのままの自分でいいんだと理解できれば、心と体に余裕が持てる、この余裕が一番大事なのです。
大河原
なるほど。
男性としては自分の奥さんが心と体に余裕を持てるように気遣うよう意識すべきですね。
大森
はい、自分に余裕がないと、人に優しくなんてできないですよ。
それがずっと続いているのが産後の母親なので、仮にその苦労をシェアできればまた全然違うし、全てを完璧にこなすのはまず無理な時期です。
例えご飯が手抜きでも、食事の場を母親が楽しく盛り上げられたら十分満たされるのに、そういう余裕を持つことが皆さん中々できないみたいです。
大河原
そうなのですね。
私もパートナーを持ったら、そこに気を付けてコミュニケーションを取りたいと思います。
今後は、このstudio paumeでのお仕事をどのように、継続・発展させていきたいと考えていらっしゃるのでしょうか。
大森
産後ケア自体が、今の四国で全然馴染みがなく、産後ケアをお仕事にされている方が本当にいらっしゃらない状況ですので、来年以降はインストラクターの養成についても始めていき、もっと沢山の方に産後ケアを届けられる体制を作っていきたいと思っています。
産後ケアと一口に言っても範囲はとても幅広いです。
体のケアや心のケアだけでなく、家族の意識や周囲の環境も変えていかないといけないとなると、私一人では到底出来ないし、教える側にも沢山の知識が必要なので、しっかりした養成をしていかないといけません。
大河原
まずは人材育成に力を入れるところから始めるということですが、将来四国の中でも産後ケアが出来る方が増えて来たら、その先はどのような事をしていきたいと考えていらっしゃるのでしょうか。
大森
産後ケアのスクールを作るのもいいですが、先程お話したように、日本では産前の母親に対する公的なケアはあっても産後はプツッと切れてしまうので、産後ケア自体を公的なケアの一つに入れてほしいです。
母子手帳の中に産後ケアの項目を設け、産んだ後は子供だけじゃなくて母親も定期的に専門科に相談できる流れを作りたいので、そのためには時間をかけて県や市町など公的機関ともお話を重ねながら、産後ケアの有用性や費用対効果をしっかり数字で証明して、重要性を認めて頂けるように今の仕事を着実に進めていきます。
大河原
産後ケアの実績と、広く一般に提供できる体制を揃えて、ゆくゆくは公的な補助に産後ケアを組み込ませるのですね。
大森
そうできればいいと思います。
産後ケアはお金にも時間にも余裕がない人にこそ本当に提供されるべきものですが、公費で賄えないうちは経済的・時間的余裕がある人にしか届かないでしょうし、母子手帳にこれが入って公費で賄えるようになるのが一番の目標であり夢です。
大河原
有難うございます。
産後ケアは大都市ではかなり普及しつつあるとおっしゃいましたが、既に先行している取組みのなかで参考にできるものもあるかと思います。
大森
まだ公費で産後ケアを受けられるところまでは行っていないのですが、名古屋市で、今年の4月から母子手帳を配る時に一緒に産後ケアのパンフレットを配ってくれることになりました。
パンフレットの配布だけですが、これは本当にすごいことです。
大河原
自治体が産後ケアの価値についてしっかりと認めてくれたということですね。
大森
はい、そこからもう一歩踏み出して結果を出していけば、公費での補助に近づいていくと思うので、モデル的に進んでいるところを参考にしながら、四国の人々の価値観や生活に合った形に落とし込んでいくことを考えていて、どのようにしたらいいのか、今まさに模索している途中です。
会社概要
社名:studio paume
代表名:大森 絵美
住所:伊予郡砥部町拾町7-4 2F ホンぷりCafe内
TEL:080-5669-3566
URL:http://studio-paume.com
事業内容:・生活関連業/娯楽業