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「人との出会いが一番大事」
司法書士法人南海リーガル
西森 淳一 代表司法書士
- 2015/3/5
大河原
それでは、インタビューを始めさせて頂きます、よろしくお願い致します。
まず、西森代表は、学生の頃はどのような仕事に就こうと考えていらっしゃったのでしょうか。
西森
私が司法書士の道に進もうと決めたのは大学を卒業する直前でした。
学生の頃は、あまり、自分の将来について具体的な考えは持っていませんでした。
大河原
そうだったのですか。
司法書士になろうと決められたきっかけは何だったのでしょうか。
西森
当時の私はあまり社会に出たくなかったのです。
というのも人と交流するのが苦手で、会社での営業など人と接する仕事を敬遠していました。
それで、今思えば勘違いなのですが、弁護士や司法書士のような仕事だったらこちらから特に営業をしなくてもお客様が自然にいらっしゃるのではないかと思ったのです。
大学の時に行政書士の資格を取ることができ、次は何をしようかと思った時に、弁護士になるには今度は法科大学院に入らないといけないので、弁護士ではなく司法書士に挑戦してみようと思いました。
大河原
行政書士の試験は、どのような動機で受けられたのでしょうか。
西森
愛媛大学法文学部の総合政策学科から司法コースに進んだのですが、授業が難しくて、法律について自分でももっと勉強しようかなと思うつもりで受けました。
大河原
それで試験に受かって、折角だから司法書士になるための試験も受けられたのですね。
それについての勉強はどのようにされたのでしょうか。
西森
勉強は、なにしろ学生時代は時間が有り余っていますから、一生懸命勉強をして、四回生の時に初めて試験を受けたのですが、落ちてしまいました。
私の予定では、そこで受かるつもりだったので就職活動も大学院に行く準備もしておらず、当時はニートなど、働かない若者が問題になった頃で、それについて大学でレポートを書いたりもしましたが、自分がまさかニートになるとは思いませんでした(笑)
大学卒業後に、その年の7月にもう一度試験を受けて、そこで合格をしたので早く修正ができ良かったと思います。
大河原
では、卒業をされてからは、ずっと試験勉強に打ち込まれたのですね。
西森
そうですね。
本当に、後がなかったような感じでしたから。アルバイト等も試験が終わってから始めました。
実家暮らしだったので、その点は非常に助けられましたね。
大河原
なるほど。
司法書士試験って結構狭き門だと聞いたことがあるのですが。
西森
そうですね、大体合格率が3%ぐらいです。
ただ試験に通った後が大変で、その時点では「試験に通るだけの実力は付けたのかも」といったところですね。
大河原
試験に通ったら、まずはどこかの事務所に見習いなどの形で入られたのでしょうか。
西森
はい、試験に合格したら研修という制度がありまして、私もとあるベテランの先生の事務所に修行に行きました。
そこで1年半ぐらい勉強をさせて頂きました。
大河原
そこで初めて実務に携わることになったのかと思いますが、司法書士試験とはどのように違うと感じられたのでしょうか。
西森
試験では問題に対して答えが1つしかありませんが、実務だとそもそも問題が決まっていません。
お客様とやり取りをして問題を発見して、その問題を解決するのに必要な・最適なアプローチをご提案し解決する、それが我々の仕事だと思います。
大河原
多くの士業の方が、ここで試験と実務のギャップに戸惑われると思いますが、西森代表がその中で初めて気づいたこと、成長できたことなどは何かございますか。
西森
元々、人と関わるのが不得意な自分でもできるだろうと考えてこの業界を目指したのですが、それはとんでもない勘違いで、むしろ人と関わらないとできない大変な仕事だと気付きました。
ただ、一度この業界に入ってしまったら、方向転換もなかなかできないなので、もうこの仕事で食べていくしかないと覚悟を決めました。
それで色々な方とコミュニケーションを図り、やり取りを通じて、人と関わることの楽しさと言ったこともわかってきたのです。
それが一番よかったことだと思います。
そういう意味では、自分を変えてくれる仕事ではありました。
大河原
なるほど。
人と関わる楽しさが分かったことについて、何かエピソードなどはございますか。
西森
例えばお客様が問題を抱えられているとします。
それを我々が「このような形で解決していきましょう」とご提案して円滑に解決ができれば、それがお客様に感謝される、一番楽しい・嬉しいことです。
これはどの仕事でも同じだと思います。
大河原
そうですね、他の経営者の方も感謝されることが仕事のやりがいだということをよくおっしゃっています。
西森
お客様から頂く報酬や料金というのは、いわば、それに対する対価ですからね。
それがなくて嫌々支払ってくれる人はいらっしゃいませんよ。
大河原
有難うございます。
お聞きした経験、そういう経験を積まれて、いよいよご自身でも力をつけて独立ということになったと思いますが、その時に、誰かのもとで働くのと違って、苦労されたことなどはございますか。
西森
前の先生の事務所は、いわゆるベテランの先生だったので、お客様の方から訪ねてこられることがありました。
それをずっと見てきたので、自分が独立してもそれほど苦労はしないのではないかと思っていたのですが、それも甘かったですね。本当に読みが甘かったです。
開業したてで何もない事務所に、いきなりいらっしゃるお客様はいませんでした。
本業で全く売上がないと言う、それは若い自分にとっては非常に衝撃を感じました。
しばらくは日々の生活のために税理士事務所でアルバイトをしていました。
大河原
そうなのですか。
厳しいですね、司法書士の先生が税理士事務所アルバイトというのも。
西森
ここで私が言いたいのは、資格を取っただけでは独立しても仕事はできないということです。
誰も訪ねてこない、電話も鳴らない、月の売上は0という状況が2年ぐらい続き、それを痛切に思い知らされました。
大河原
そこでアルバイトをしているうちに、何か色々と人脈を作ったり広告を出したりとされたのだと思いますが。
西森
その時に私が一番嬉しかったのは、仕事がない中でもなんだかんだで色々な方が支えてくださるわけで、ある方から別の方を紹介して頂いたりそこからまた繋がりが出来たり、そういった人との出会いが多くありました。
その時に得た人との繋がりをどんどん伸ばして今の私がありますので、それがなければずっとアルバイトを続けていたかもしれません。
出会いってものすごく大事だと思いますし、それに気づかせてくれたという意味で、この独立が私にとって一番のターニングポイントです。
大河原
有難うございます。
人との出会いが大事だというのは、私もその通りだと思います。
中には次のチャンスを持ってきてくれる貴重な出会いもありますから。
これまでで、最も心に残るお客様はどのような方だったのでしょうか。
西森
一番印象に残っているのはやはり、初めてのお客様ですね。
何故うちの事務所を知っているのだろうと(笑)
大河原
その方もどなたかからの紹介でいらっしゃったのでしょうか。
西森
そうですね。
知り合いからの紹介で、それが一番うれしかったですね。
司法書士の仕事は登記などですが、それは誰がやっても一緒です。
大河原
そうなのですか。
西森
専門の知識は必要ですが、様式に沿って記入するだけですから、内容の差別化が出来ません。
だからこそ山ほどある司法書士事務所の中からあえて当事務所を選んでくれるというのは、それだけで嬉しいことです。
大河原
なるほど。そのような人との出会いを大事にしながら仕事をされているのだとは思いますが、他に何か、仕事をする上で大事にしていることはございますか。
西森
仕事をする上で一番考えているのは、「至誠一貫」という言葉があります。
「真心を持って最後まで貫き通す」というような意味ですが、せっかくお客様が当事務所を選んで下さっているわけですから、そこにどの様に応えていくか常に考えています。私たち司法書士もサービス業の一種なので、そこが一番ですね。
大河原
サービス業だと、形のないものを売っていることになりますから、それだけ他の方から成果が見えにくいということもあると思います。
その「至誠一貫」という言葉について、どんな行動を取れば評価されるのでしょうか。
西森
まずはお客様と話すことです。
それをしないとどのような悩みがあるのか、どこに原因があるのかわからないですよね。
お客様に書類を書く作業を見せても仕方がないですから、それが一番大事なことです。
大河原
やはりそれに尽きるのですね、有難うございます。
先程、仕事をする上でやりがいに感じることはお客様に感謝をされることだとおっしゃっていましたが、今度は、西森代表とお客様の関係ではなく、事務所で共に働いていらっしゃる方との関係で、大事にしたいことはございますか。
西森
私を含めスタッフは、お客様のために一丸となって、常に一生懸命働くという姿勢で実務に取り組んでおります。
それから、何でも話せるような雰囲気、それを大事にしています。
私たちの扱う仕事というのは、どうしても高額なものになりますし、色々と相談・連絡が必要なことも出てきますので、スケジュールをスタッフと共有したりなどもしています。
やはり代表だからと言って一番偉そうにしていてもいけません。
従業員・スタッフがいてこそ仕事ができるのです。
大河原
なるほど。
西森代表は30代とまだお若いですが、これからどのように事務所を発展させていきたいと考えていらっしゃるのでしょうか。
西森
目標としては、四国4県に支店を出すことです。
目標は大きく持たないといけませんよ。
ただ、支店を出すためにはそれだけ周りに必要とされないといけないので、そのために今我々が力を入れているのは相続の問題解決です。
遺言や、高齢者の資産の管理、その後の対策などです。
そういった部分で我々が力になれれば積極的に力をお貸ししたいと思いますので、そのためにもより多くの方に知って頂く努力も必要です。
一般の方が普段から司法書士に関わることって中々ないでしょう。
大河原
確かに、それこそ家族の誰かが亡くなった時に、相続のことで初めて相談するくらいだと思います。
西森
そうですよね。
世の中ドンドン忙しくなっていますし、普段からお仕事をされていたら平日に銀行に行くのも大変でしょうから、そういった部分も我々がお手伝いできるのではないかと思います。
私の考えとして、「餅は餅屋」だと思っています。人それぞれに得意なことがあるわけですから、自分が得意なことを仕事にして、それ以外は他の方に任せたらいいと思います。
私だってそうです。
大河原
なるほど、「餅は餅屋」ですね。
相続となると、個人のお客様だけではなく企業でも、経営者の方が代替わりをしたり、突然に亡くなられたりすることで、事業承継が問題になることもあるのではないかと思います。
西森
そうですね、会社関係のご相談も多いです。
事業承継の他にM&Aの相談も受けられますし、認定司法書士であれば、140万円以下の債権だったら回収出来ますので、中小企業の経営者の方にも「司法書士ってこんなこともできますよ」ということを知って頂きたいです。
大河原
司法書士って本当に色々なことが出来るのですね、まだまだ勉強不足だと感じます。
中小企業の経営者の方で、そのようなことを司法書士の先生に頼まれるということは少ないのでしょうか。
西森
先ず税理士さんに相談をして、そこから私たちにお話が回ってくるということが結構多いです。
私たちでもそういう仕事ができるということは、外部からはなかなか見えにくいですからね。
大河原
有難うございます。
近頃は、お仕事の分野が隣り合っている弁護士さんや行政書士さんとの連携も始められているそうですが。
西森
そうですね、それももちろんさせて頂いています。
私たちのような士業は、法の規制のもとに、「この資格を持っている人だけがこの仕事を出来ます」 という縛りがあるので、それ以外の分野のことはそれぞれの専門職の方を紹介、そして連携させて頂いたりしています。
士業に共通する一番の目標はお客様の悩みを解決していくことですから、当然、連携していく上での人脈やシステム作りには力を入れています。
大河原
なるほど。
それらの話も踏まえて、西森代表ご自身は経営者として、将来どのように成長したいと考えていらっしゃるのでしょうか。
西森
自分を成長させなければ会社は成長しませんから、まずは自分自身が成長するために、もっと人と関わっていき、自分にない良いものをどんどん吸収していきたいです。
私も色々な経営者の方とお会いしますが、そこで新たな考え方に触れたり気付きがあったりしますので、そこで得たものを取り入れていきたいと思います。
実際に人と会うことで、書籍などでは伝わらない生の人間が見られるのです。
大河原
生の人間、ですか。
西森
そうです。
色々な方とお会いすることで、喋り方とか雰囲気とか、立ち居振舞いといったことを実際に見て学ぶ機会になります。
私も31歳になりましたが、経営者としてはまだまだ若いので人間力を向上していきたいと思います。
大河原
人間性の部分でも成長していきたいのですね。
西森
そうですね。
仕事の上では、法律は日々変わりますので常に勉強して、注目される新しい仕組みが出来たらやはりそこもチェックして、知識を新しくすることが我々にとっての仕入れです。
しかしそれと共に人間性も高めないと、お客様に必要とされませんから。
大河原
有難うございます。
仕事とは少し離れるのですが、この松山で、士業全体のことについて、これからどうなっていって欲しいと考えていらっしゃるのでしょうか。
西森
それはやはり、どの仕事でも得意不得意があるのは同じだと思いますが、士業全体では結構な人数がいますので、士業同士お互いの仕事のことを知って頂いて、自分が出来ないところ、難しいところは他の方に手伝って頂いたり、その逆もしたりしながら業界全体で発展していけばいいと思います。
大河原
その中で、西森代表は先ほど仰ったような、相続と遺言や中小企業を対象とした問題解決で頼れる司法書士事務所を目指されるのですね。
西森
はい、その通りです。
大河原
有難うございます。
最後に、若者へのメッセージをお願い致します。
西森
メッセージですか。
自分が若者の時は何をしていたのでしょうか(笑)
自分を振り返っていうならば、もっと人と関わっていた方が良かったですね。
何度も言いますが、人との出会いが一番大事です。自分の周りにいる人だけでなく、更にその周りにいるお友達や家族も大切にしていたら、そこからまたネットワークがどんどん広がっていきます。
いずれ自分が何かしようとしても、自分一人ではできないことって沢山あると思いますが、その時に助けてもらえるのはその人たちです。
それがいわば、人との関わりを大切にという、昔の自分に一番言いたいことですし、今の学生にも実行してほしいことです。
大河原
今までも、人付き合いが苦手ということで、チャンスを逃されてきたということもあるのでしょうか。
西森
それは多々あったと思います。単に自分がチャンスだと気付いていなかっただけで。
人を通じないと、チャンスも掴むこともできないでしょうし、紹介して下さる人がいなかったら新しい人には繋がりません。
SNSで友達を広げることを現実でもしている感じですね。
本当に、色々な人と関わっていくことが一番だと思いますし、色々なことにチャレンジしていってほしいです。
大河原
有難うございます。
私もここでインターンシップをしていますが、このようなインタビュー以外の場でも人と関わる機会が増えて、ちょっと前向きになった気がします。
以上でインタビューを終了させて頂きます。
本日はお忙しい中、有難うございました。
インタビュアーより
乞うご期待!
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