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「向上心をもって 仕事を楽しむ!!」
有限会社タカアゼ
高畔 英樹 代表取締役
- 2015/1/29
大河原
私は熊本出身なのですが、松山の周辺で熊本ラーメンが食べられるお店って少ないので、とても有難いです。
距離は遠いですが、これからも折を見て通わせて頂きます。
高畔
有難うございます、お待ちしております。
大河原
はい、楽しみにしています。
それでは、インタビューを始めさせて頂きます。
本日はよろしくお願い致します。
まず、高畔代表は子供の頃はどのような環境で育たれたのでしょうか。
高畔
子供の頃は、どちらかというと運動が好きで、よく外で遊んではいました。
大河原
では、将来の夢といえば、スポーツ選手などだったのでしょうか。
高畔
そうですね。
父がスポーツ店をしていたので、スポーツ関連の仕事をしたいなと小学生ぐらいの時には思っていました。
特にサッカーをずっとしていたのですが、小学校5年の時に大火傷をしてから少し生活が変わりました。
大河原
それは大変でしたね。
高畔
その火傷をしてから激しい運動は控えるようになり、学生時代は趣味としてテニスをしていました。
大河原
なるほど。
料理の世界に進むことにしたきっかけは何だったのでしょうか。
高畔
元々は学校の先生になりたいと思っていたのですが、父方のおじが東京で服飾デザイナーをしており、有名なアイドルの服を作ったりしていたので、服飾デザインをしてみたいと思うようになりました。
しかし、その選択は親に反対をされ、その時に、京料理や和食の本を見て、その綺麗さに驚き、興味を惹かれて、「服飾が駄目なら和食に進もう」と思い、料理の世界に入ったのです。
大河原
そこで和食の世界に触れたことが、今のお仕事に繋がるのですね。
高畔
そうですね。
和食というと修業が厳しいというイメージがありましたが、一方で厳しさの憧れもありました。
そんな折、地元で和食の新しいお店が開店するというのでその会社に就職し、お店が出来るまでの間、半年間は同じ会社の色々なお店に携わらせて頂きました。
その中に居酒屋もあったのです。
そして、新しい和食のお店で3年間勤めたのち、自分のお店を持つことになりました。
大河原
働かれる中で、自分でもお店を持とうと考えられたのですね。
高畔
はい、いずれは持ちたいという気持ちはありました。
ただ、先程も言ったように父がスポーツ店をしていたのですが、大型店やネットショップに押されて経営が厳しくなり、親から「自分で店を持たないといけない」とアドバイスがありました。
当時私は24歳で、まだ3年くらいしか修行をしておらず、独立はもっと先のことだと考えていたのですが、それがきっかけで始めることにしました。
最初は天ぷらと焼き鳥だけの小さな店から初めて、試行錯誤をしていきました。
大河原
思いがけないタイミングでの独立ということで、お店を始めた時は不安なこと、また集客や宣伝などについても苦労されたのではないでしょうか。
高畔
そうですね。
親の交友関係が広かったので、最初のお客様には困らなかったのですが、その後どのようにリピーターとして繋ぎ止めるかについては苦労しました。
料理自体も、何年も修行しているわけではなかったので、試行錯誤しながら腕を磨いていきました。
今思えば、上手くいかなかったことの方が多かったのではないでしょうか。
また、元々は和食をしたかったのですが、早めに自分のお店を出さざるを得なくなったことと、また伊予市という土地柄もあり、高級な和食を出すよりも、庶民的な店作りをした方が受け入れられるのではないかと考え、居酒屋風に焼き鳥と天ぷらを中心にしたのです。
そこから少しずつメニューも増やして、いわば「何でも食べられる居酒屋」的なお店になりましたね。
大河原
なるほど。
ラーメン店の方はどのような理由で始められたのでしょうか。
高畔
独立して20年ほど経った頃でしょうか。
ある時、母と親しくてラーメン店を経営していた方からお店を畳むという話を聞いたのです。
元々ラーメンの食べ歩きなどが好きとはいえ、自らお店を始めるつもりまではなかったのですが、ラーメンの作り方を教えて下さるということだったので、「ちょっとしてみようかな」 と思ったのがきっかけです。
その方から味を教えて貰っていたのですが、化学調味料や出来合いのスープの素などを使っており、「これは自分が作りたい味ではない」と考え、結局引き上げることにしました。
その時に、スポーツ店の一部を改装して、居酒屋をしながらラーメン店もするようになったのです。
大河原
ラーメン店の方のスペースは元々お父様のお店だったのですね。
高畔
はい。
ラーメンを始めてからもスポーツ店は残していたのですが、一昨年の10月に全てラーメン店に改装しました。
父も高齢でしたからね。
大河原
子供の頃からずっと続いてきたお店を畳むのは、とても寂しいことだと思います。
高畔
そうですね。
スポーツ店も30年以上続いていたので馴染みのお客様も結構いらっしゃいました。
閉店したことを知らない方から未だに電話がかかってくることがあります(笑)
ですが、そのお客様も次第に大型店やインターネットなどに移られて、最後は地元の学校や役所関係が残る状態になっていましたから、その時が辞め時だったのでしょう。
大河原
有難うございます。
そのような中でラーメン店も開かれたわけですが、そちらでも和食とは違う苦労などもあったのではないでしょうか。
高畔
ずっと和食をしていたので調理の腕には自信があったのですが、これがまた難しくて、中々思うような味を作ることが出来ず、今の味に至るのに5~6年ぐらいかかりました。
今考えると、最初にラーメンを食べて頂いた方にはとても気の毒なことをしたと思います(笑)
大河原
ご自分でずっと試行錯誤を重ねたのですね。
高畔
はい。
色々な店を実際に食べ歩いて、日帰りで九州に行き、北九州、福岡、熊本、久留米と回って5杯ほどラーメンを食べたりもしました。
大河原
すごい行動力だと思います。
自分で色々な味を試して、高畔代表なりの味が出来ているのですね。
高畔
イメージには近づけたと思っています。
一旦自分の納得できる味が出来れば、そのバリエーションも増やせるので、それが料理の不思議なところだとも試行錯誤しながら思いました。
大河原
その味が自分の中でのベースになっていくのでしょうか。
高畔
基本が出来てこそ、色々とアレンジのしようがある、ラーメン作りの中でそのことを実感しましたし、3,40歳ぐらいの時に、もっとしっかり和食を学んでおけばよかったと思ったりもしました。
居酒屋を始めた時は和食の基本が十分に出来ていない状態で、それでも「美味しいものを出す」という気持ちは誰にも負けないつもりだったのですが。
大河原
有難うございます。
自分らしさを出すにはまず基本をマスターしなければならないこと、これはラーメンや和食に限らず、あらゆる物事に当てはまると思います。
高畔代表にとってターニングポイントと言える出来事はございますか。
高畔
私は少年時代から人前に出ていくのが好きなタイプではなかったのです。
それでも自分でお店を持って、ある程度順調に来ていたのですが、2009年頃に新型インフルエンザの流行で客足が遠のき、2011年には東日本大震災による自粛ムードで大きい宴会がキャンセルになったりして売り上げがガタ落ちになったことがありました。
特に震災は歓送迎会で書き入れ時の3,4月に重なったので、ダメージは大きくなりました。
この2つの出来事により、経営が苦しくなった時がありまして、それまでは「美味しい物さえ出せばお客様が来てくれる」という考えだったのですが、その時に初めて、これは何とかしなければいけない、料理を作っているだけではいけないと考え直し、色々と打開策を打ち出すようになりました。
トラブルが起こった時は大変でしたが、色々と勉強して動き出してからは、年々売上げも上がっているので、その成果が出ているのだと思います。
大河原
職人気質が行き過ぎていた反省から、もっとお客様の方を向いたお店作りについて研究するようになった、ということでしょうか。
高畔
そうですね、美味しいものを出すだけでは駄目だと実感しました。
売り上げが落ちてからは、ビジネス書を読むようになり、その中で自分が取り入れられるものは取り入れてみたりもしました。
大河原
差支えなければ、その色々な取り組みの中で、特に大きなものを教えて頂けないでしょうか。
高畔
対人コミュニケーションに力を入れるようになりました。
勉強をする中で、一人では何もできないということに改めて気付きましたから。
以前は別の場所で営業しており、そこは席数20名程の小さいお店で、従業員もアルバイトの方が一人だけだったのですが、こちらに移ってからはスタッフを増やして、皆の力を借りてお店を盛り上げていこうという感じでスタッフミーティングを始めました。
そこでは若い従業員の意見も取り入れるように、例えばメニューを決めるときも皆にどういう料理があったらいいか訊くなどしています。
また接客についても、おしぼりの出し方やオーダーの取り方など接客方法をみんなで勉強する機会を設けています。
一人ではいけない、ということについては、ラーメン店を始めた際に、ある方の紹介で県内の中華料理店の組合に誘って頂きました。
それから少しずつ、外に出て人と会う機会が増え出して、その組合員同士の連絡手段としてFacebookを始めたのです。
Facebookを始めると、今度は違う業種の方と繋がりが出来ますよね。
そこから異業種交流会や名刺交換会などに招待され、それまでは店を抜け出して外に出ることなどなかったのですが、仕事に余裕のある時はそちらに参加して色々な方のお話を聞かせて頂くようになりました。するとそこでまた繋がりができます。
大河原さんもFacebookをしていたから私と繋がることが出来た訳ですからね。
大河原
確かに、私もこのインターンシップを始めてから、Facebookで経営者の方とお知り合いになることが本当に増えましたので、威力を実感しています。
高畔
全然知らない方と会って話をすると、新たなエネルギーを得られますよね。
大河原
はい、前向きになれます。
高畔
そうでしょう。
以前は人前に出ていくのが好きなタイプではなかったのですが、前向きな人々が集まっている場に行くと自然と意識が引き上げられる、そのことを今実感しています。
現在私は40代の後半ですが、新型インフルエンザと震災を学びの機会として、楽しい40代でいようと思っています。
もしこの2つがなかったら、そのまま尻すぼみになっていた人生だと思います。
大河原
災い転じて福となす、ということわざの通りですね。
私もこれから、大小様々な出来事があると思いますが、それを上手くきっかけにして、次のステップに進みたいです。
話は変わりまして、ラーメン店と居食屋(いしょくや)異なる二つのお店を経営する中で、それぞれ重視していることがありましたら、お教えください。
高畔
そうですね、やはり両方のお店とも、まずはお客様に喜んで頂くのが一番ですね。
ラーメン屋の「麺人(めんと)」という店名も、一杯のラーメンで色々な人を笑顔にしたいとか、色々な人と繋がりたいという想いで付けたのですよ。
大河原
そんな想いが込められているのですね。
有難うございます。
今後、この二つのお店をどのように成長させていきたいと考えていらっしゃるのでしょうか。
高畔
いずれは「自分が店の中にいなくても回るようにしたい」と考えているのと、50歳までにもう1店舗、伊予市の中心街の近くで開こうと考えていて、そのために最近、若いスタッフを育てる事に力を入れて取り組み始めています。
人が育たないと、自分のお店の成長もなく、新しく出店することなどできませんからね。
大河原
確かにその通りですね。
人を育てている途中ということですが、その中で重視していることは何でしょうか。
高畔
今のアルバイトの中にも料理屋さんになりたいと言う方がいるのですが、自分なりの仕事の楽しみ方を見つけてほしいと思っています。
ジャガイモの皮剥き一つとっても、ただ剥くだけなのと、自分で時間を決めて何個剥こうと決めてするのとでは、仕事の面白さ、また上達スピードに違いがでてきます。
大河原
自分の中で目標を持つと、仕事に対するモチベーションを高めることに繋がりますね。
高畔
はい、スタッフミーティングなどの場では、向上心を持って臨もうという話を皆にしています。
そう考えたのにもきっかけがありまして、私は小さいころにサッカーが好きと言いましたが、25歳ぐらいの頃にお客様から頼まれて、地元のサッカー教室で10年ほどコーチをしていたことがあります。
子供たちに指導する中で、ミニゲームをする時に、ただ単にゲームをするのと、ボールを持った子に対して「一生懸命行ってみよう」と声をかけて試合をするのとでは、後者の方が子供たちが面白いと感じていることに気付いたのです。
ちょっとだけプレッシャーを与えてあげた方が、却って楽しめるとでも言いましょうか。
大河原
楽しんで頑張ろうという気持ちになるのですね。
高畔
その通りです。仕事の中でもそういうことを若い人たちに、解ってほしいなと思います。
大河原
確かに、どうせ仕事をするなら楽しく出来た方が良いですし、結果的により自分の学びに繋がると思います。
高畔
そうですね。私自身を振り返ってみたときに、震災などのマイナスの出来事もありましたが、自分にとってよいプレッシャーになったのだと思います。
向上心を持って、仕事の楽しみ方を分かれば、人生も楽しくなっていくと思います。
「何分以内に終わらせる」と決めるとどうしたら早くできるか考えるでしょう。
接客などについても、 マニュアルを作って皆が同じ動きをするのではなく、「お客様を楽しませる」ことに繋がる接客であれば、個々人が自分なりにやり方を考えていいと言っています。
大河原
なるほど。
そのように大きな目的を共有できると、スタッフの皆さんもそれに向かって「自分はどうしたらいいのか」真剣に考えるようになりますね。
高畔
はい。
スタッフミーティングを始めてから一番びっくりしたのは、若いスタッフの意見を聞くと、メニューや季節ごとの企画などで、新しい発想が数多く出ることです。
それはお客様にとって、料理の味以外の所でも楽しんで頂けることに繋がるでしょうし、考えてくれた若いスタッフも、そのアイデアを使ってもらうと嬉しい気持ちがあるから真剣に考えてくれるのだと思います。
もっと早くからそういうことに気づいていればよかったですね(笑)
大河原
有難うございます。
色々な人のアイデアをこれからも大事にしていってほしいと思います。
最後に、若者に向けてのメッセージを頂きたいと思います。
高畔
今、お話をしたことになりますが、「自分を磨きながら仕事を楽しむ」ことを心掛けてほしいです。
最近の若者には仕事を途中で辞める方が多いとよく聞きますが、それは仕事の楽しみ方を知らないからなのではないかと思うのです。
我々経営者としては、どうやったら従業員が楽しく仕事を出来るか、その環境作りが大事だと思います。
私も、今まさに模索しているところです。
若い方々も、どうしたら自分が楽しく仕事ができるのか、その方法を見付けて頂いて、数年後に社会に飛び出た時は向上心を持って仕事に取り組んでいって欲しいと思います。
大河原
有難うございます。
私も、目の前の仕事にどうやったら楽しんで取り組めるかを考えながら、自分なりのやり方を探していきたいと思います。
以上で、インタビューを終わらせて頂きます。本日は貴重なお時間を頂き、まことに有難うございました。
インタビュアーより
乞うご期待!
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