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「仕事は楽しく 遊びはまじめに」

四国ビジネスコンサルタント
東矢 憲二 代表

  • 2014/7/23
i-carh-shikoku-business

大河原
本日は宜しくお願い致します。
東矢代表は、大学を卒業後は何をされていたのでしょうか。

東矢
大手電機メーカーの経理課でサラリーマンをしていました。
社員が1万人いる大企業だったのですが、1万分の1では、つまらないからと思い考えて飛び出しました。

大河原
その後、中小企業診断士などの資格を取得されたのですね。

東矢
いえ、その後2箇所で働きました。
元々マーケティング・宣伝広告に興味がありまして、大阪の広告代理店で企画営業をしていました。
その後、家庭の事情で愛媛に帰ってきて、松山卸団地の事務局に勤めました。
その後に、中小企業診断士の資格を取って独立しまして、今年で31年目です。

大河原
有難うございます。
31年ってすごいですね。
やはり資格を取るのは大変だったのですか。

東矢
中小企業診断士の資格を取るには経営全般のことを学ばなくてはなりません。
資格試験に挑戦してから何度も失敗してようやく取ることが出来ました。

大河原
なるほど。
会社勤めの頃と事務所を構えられてからでは、仕事の中身や忙しさなどは、どのように変わりましたか。

東矢
仕事のことよりも人生経験ですね。
深みが出てくると言った方がいいでしょうか。
もちろん責任や、時間を自分で計算しないといけないというのはありますし、自分で仕事を作っていかなければなりませんが。

大河原
自己管理だけではないのですね。

東矢
自己管理以上にもっと幅広いですね。

大河原

確かに経営者の方は何もないところから仕事を見つける、作り出すというイメージがありまして、誰かから与えられるより遥かに難しいことだと思います。
その仕事を見つけるという場面で、フェイスブック上でのやり取りがきっかけになることもあるのですか。

東矢
あまりなりませんね。
年に1~2件くらい講演の依頼などがあるくらいです。
ただ私のことを宣伝してくださる方もいるので、間接的な繋がりを含めると解りませんね。

大河原
なるほど。
平成8年ごろに生き甲斐を喪失されたとフェイスブックで拝見したのですが、それはどのようなことだったのでしょうか。

東矢

当時は、1年間365日休みがありませんでした。
休みと言えば1月1日の元日だけで、あとは全部仕事、徹夜もよくしました。
もはや働いているというより働かされている状況で、仕事に対して受身になっているという感じでした。

大河原
それではいけないと考えられたのですね。
どのようにして気持ちを変えていったのですか。

東矢
受身で仕事をするのではなく能動的に仕事をしようと考え、自分というものをしっかり持つようにしました。
私は人から頼まれた仕事をするだけじゃなくて、プライベートの時間を持ったり、仕事を作ったりもしないといけませんので。
自分をコントロールしていって、「自分が仕事をする」という風に持って行きました。

大河原
「自分が仕事をする」ですか。

東矢
させられるのではなくて、する。
能動的に動くということです。
普通の会社では受身的で、「上司に言われてする」仕事が多いですが、それでは駄目です。
自分の考えで自分が決めて動かないといけません。

大河原
仕事だけではなくて自分自身の舵取りもしてゆく、ということでしょうか。

東矢
仕事をしている人間はだめです。
そうではなくて、もっと視野を広げて、遊びなど仕事以外のことも見ることが必要です。
視野を広げることで色んなものが見えてきます、すると仕事の仕方そのものが変わってきます。

大河原
東矢代表がとても多趣味でいらっしゃるのも、仕事だけではなくもっと色々なことに目を向けていった結果なのですね。

東矢
そうですね。
例えばフェイスブックをしていると、自分を発信したい、表現したいと思っている前向きな人が多いのですが、そういう方と繋がっていると、普通の仕事で知り合う人以外に面白い人と出会えることがあります。
するとその方たちから変わった仕事が入ってきますので、そういう楽しい仕事がしたいです。

大河原
有難うございます。
遊びの方から人との繋がりが出来る、それもまたある種のビジネスチャンスですね。

東矢
はい。
生活するための仕事じゃなくて、自分が楽しむための仕事に変えていくと、例えば24時間働き続けても疲れません。
人から言われたこと、したくないことをするから疲れるのであって、それを自分流の仕事の進め方に変えていけばいいのです。

大河原
自分のしたいことに変えていく、ということでしょうか。

東矢
自分の苦手なことはそこそこにして、自分の得意なことや好きなことに仕事の流れをくみかえていくことがよろしいかと思います。
もちろん、権限を何も持っていない平社員の場合は難しいかもしれませんが、工夫すれば、何とか自分の特技を組みこむことは可能だと思います。

大河原
よく「自分の好きなことを仕事にするのはよくない」とも言われますが、それとはまた違うのですか。

東矢
それはケース・バイ・ケースで、一口に正しいとか間違いとかは言えないし、仕事の進め方によると思います。
でも、好きなことを仕事に出来たら楽しいと思いますよ。
尤も、好きといってもプロレベルでないと仕事にはなりませんが。
私も音楽は好きですけど、プロレベルではないので仕事には出来ません。

大河原
やはり上達するには場数を踏まないといけませんね。
独立してから最初の頃は試行錯誤をすることもあったと思いますが、自己管理や仕事のスキルなどについて、東矢代表はどのようにして身に付けられていったのでしょうか。

東矢
独立して今年で31年目ですが、私はどこかのコンサルタント会社に勤めていたわけでもなく経験不足でした。
試験に通ったからといってすぐに仕事は出来ないわけです。
それでも失敗しながら経験を積んで、ようやく自分で出来るようになるのが10年目ぐらい、その頃には評判が上がって仕事を頂けるようになりました。

大河原
10年ですか。
私は10年というのは、その仕事について一人前に出来るかどうかを見る一つの節目になると考えているのですが、もちろん年数だけで決まるものでもないとは思いますが、実際独立したばかりの頃と10年目とではどのように違ってきたのでしょうか。

東矢
最初3年間は仕事が来なくて生活できませんから、貯金を取り崩しました。
次の3年間でやっと仕事の収入で生活できるようになりました。尤もこの頃は自分でも自信がありませんでした。
だんだん経験を踏んでくると、自分の中にノウハウができてきます。
ノウハウがないと自信も付きませんよね。
自信がない言葉は説得力もありませんから相手に伝わりません。
ノウハウを積んで、言葉に説得力を持たせられるようになったのが10年後です。
でもまだまだ本物じゃありませんから。

大河原
そこから更に20年経って東矢代表なりの仕事ができるようになったのですね。

東矢
東矢流の仕事ができ出して、色んなファンがついてくださっています。
私の場合、商品のようなモノではなくて、ノウハウという形の見えないものを売っていますので、普通の人はいきなり買おうと思いませんよね。
成果を見ないと。
そこが難しいですね。

大河原
「形がないものを売る」にあたってお客様に信頼されるために必要なのが、過去の経験や実績なのですね。

東矢
nakakiji-higashiya
はい、やはり経験、場数ですね。
「守破離」という言葉があります。
宮本武蔵が説いた剣の極意のエキスですが、上に上がっていくために必要な第一のステップが「守」、守るということ。
すなわち原理原則を徹底的に勉強して、その通りにするということです。
私も診断士の勉強をして、経営コンサルティングの原理原則を徹底的に勉強しました。
しかしそれだけでは効果は出ません。なぜか解りますか?

大河原
同じことをしている人が他にもいるからでしょうか。

東矢
そういうことです。基本だけでは不十分ですからね。
したがって次のステップ「破る」ということです。
宮本武蔵の例で言えば、剣は普通1本ですが、大勢に囲まれた時は咄嗟に2本で闘い、何十人もの相手に闘い抜きました。
普通の剣術の闘い方を破って、それを更に高めて、最終的に原理原則から離れました。
剣もコンサルティングも一緒で、最初は原理原則を守るということ、その次はちょっと破ってみて違うことを自分で考えてみること、最後はそれをもっとブラッシュアップして自分流にしていくこと、そのときにはもう原理原則から完全に離れています、これが「守破離」ということです。
それができれば、もう自分流の仕事の進め方が確立しているということです。それはやはり20年30年の年月が必要ですね。

大河原
やはり30年もこの仕事を一筋でしていらっしゃると、この「守破離」のことを考えられるようになるのですね。
ちなみに東矢代表は現在どの段階にいらっしゃるとお考えですか。

東矢
まあ、その最後の段階に行こうとしているところ、でしょうかね。
分野によっては行っているのもあるのでしょう。

大河原
概ね「破」と「離」の間ということでしょうか。

東矢
コンサルティングという仕事はすごく幅広いので、新しく着手しているのもあれば経験豊富な分野もあり、後者はもう「離」の段階ですね。
そしてこれからやろうとしている分野は「守」のところです。
色々ですよ。

大河原
経営コンサルタントというと、様々な事に精通していないとできないと聞いたことがありますが、どうしても人間には限界があるので、精通していることとしていないことの差があると感じました。

東矢
知識、技術と説得力、これがものすごく大きいです。
いいアイデアでも、それが相手に伝わらないと実行してくれませんし、実行してくれなければ提案しても何にもなりませんので。
実行できることを提案して、その魅力が伝わるような説得力というのはものすごく大事です。
説得力については、こちらの人間性も伝わらないと、向こうは信用してくれませんし、いい物だけを見せても駄目です。
相性もありますけどね。

大河原
有難うございます。
一口に人間性といっても、人柄や誠実さなど、色々物差しがあるとは思いますが、それを高めていくためにどのような努力をしていったらよいのでしょうか。

東矢
まず、本を読むことですね。
徹底的に読む。

人生体験というのは1人の人間は1回しかできませんが、本にはいっぱい人生が詰まっていますし、知恵や教えが詰まっているから、それを読み込んで自分を高めていくと、また次の本が理解できます。
自分のレベルを高めないと、本の良さがわかってきません。
これは人でも一緒です。

山は上に登るほどにその上が見えてくる、それと同じで、自分という人間を上げていって、それによって本に出会った時に本の良さが解りますし、人に出会えば人の良さが解ります。
あまりかけ離れていると良さは見えません。

大河原
まるで梯子を昇る人みたいな感じですね。
左右の手足をそれぞれ人間性と出会った人や本の良さに当てはめて、片方の人間性が上がればもう片方の人や本のレベルが上がり、また人間性が上がる、と。

東矢
そういう感じですね。
上がると次のレベルが見えてきますから。
だから、若いうちはレベルの高い人生で行き違ってもそうと判らないんです。
私も今やっと判って来たところです。

大河原
そういう、人付き合いも大事にしていきたいですね。
有難うございます。
少し質問を変えまして、東矢代表の考える、経営コンサルティングの魅力とは何でしょうか。

東矢
色んな人に出会えるし、色んな業種、色んな会社に出会えるし、色んな場面に出会えることですね。
普通の仕事だと業種も人もワンパターンな出会いばかりですが、コンサルティングの場合は色んな世界の人と出会えるので、それが楽しいですね。

大河原
私もこのインターンシップで、様々な経営者様とお会いさせていただいているので、そのお気持ちはわかります。
同じ質問をお掛けしても、それぞれ違った答えを返されますし、同じ答えがあってもそれはそれで、「世の中の経営者様は大体こういうことを信条にしておられるのだな」と感じられます。
色々な出会いがあるからこそ、それがまた新しい人脈作りに繋がって、またある時はフェイスブックで東矢代表のことを広められたりと、そのような効果があるわけですね。有難うございます。
スタッフの方とのコミュニケーションはどのようにして取っておられるのでしょうか。

東矢
回数は少なくなっていますが、飲み会や朝礼ですね。
人数が少なくて、いつも同じメンバーで仕事をしていますから、特別に工夫しなくても十分だと思いますよ。

大河原
お酒については、スタッフの方々は皆さんお酒をよく飲まれる方ばかりだとか。

東矢
確かにその通りです。
面接で波長がわかるのでしょうね。

大河原
波長ですか、なるほど。
ここで少し経営以外のことについてもお聞きしたいのですが、東矢代表は結構多趣味でいらっしゃいますが、それはどのようにして手を広げられたのでしょうか。

東矢
今も続いてるものだと、サックスですね。
元々音楽好きというのもありますが、40歳代の頃にたまたま音楽教室の広告を見て、3ヶ月間の体験コースに入ってみたら、サックスは全部の指を使うので、ボケ防止にもいいなと思いました。
今では自分で楽器も買って吹いています。

大河原
なるほど。
防止になるとは知ってはいましたが、楽器でもそれができるのですね。

東矢
去年の新しい挑戦が小唄と三味線ですね。
知り合いの三味線の先生から習いました。
今だとゴルフが紳士の嗜みですが、明治大正の頃は三味線だったんですよ。それでちょっと紳士ぶりたくて、三味線を始めました。
あとは、演劇ですね。これも知り合いの方が演出家だったので、やってないことに挑戦してみたいから演劇をしてみようと思って、去年から始めました。
これからも年に1回ほど公演をします。
演劇はいいですねえ。

大河原
どのようなところがいいのですか?

東矢
演じるためには自分の役柄の人の気持ちを解らないといけない。
気持ちを解り、性格を分析してその人を演ずるわけですが、ということは、他の人の気持ちも解るようになりますね。
役者さんから聞いたことがありますが、何十年も続けていると騙されることがない、と。
色んな役ができて、役の気持ちになれるから、本当の世界でもその人の気持ちが解るのだそうです。

大河原
実際役柄としてその人を演じたことがあるから、この人はこういうとき嘘を吐いているとわかるのですね。

東矢
色々な人の世界を体現しているから、喜怒哀楽の表現などが解るのだと思います。
私なんかはまだまだですが、それでも演劇をしていると勉強になりますね。

大河原
そうやって演劇で身についた力は、コンサルタントの仕事にも使えそうですね。

東矢
使えますね。
講演するときなどはまさに「演じる」わけですよね。
以前から講演をたくさんしていたから、緊張することはないんですけど、講演で壇上に立つ場合と、踊ったり喋ったりする演劇とは違いますね。

大河原
有難うございます。
今後力を入れて支援していきたい業界・分野はございますか。

東矢
簡単にそう構えるとつまらないですよ。
自分の想像しない世界との出会いのが楽しいので、こんなのが来て欲しいというのは反対に考えないようにしています。

大河原
狙って飛び込んでいくのではなく、何が来るのか楽しみにする、ということでしょうか。

東矢
そうして来たものが面白ければ一番いいですね。
贅沢な話ですが。
そういう意味では、私の好みも入りますが酒造業界など、お酒関係からお仕事があれば楽しいですね。
仮に狙うとすればお酒関係です。

大河原
愛媛には日本酒の蔵元が多いと聞きますからね。有難うございます。
最後に、若者に向けてメッセージをお願い致します。

東矢
私の好きな「座右の銘」ですけど、これを紙に書いて机に置いています。
“人を相手にせず、天を相手にせよ。“
天を相手にして、己を尽して人を咎めず、我が誠の足らざるを尋ぬべし。
「南洲翁遺訓」
南洲翁とは西郷隆盛のことです。

大河原
遺訓ということは、西郷さんが遺した言葉ということですね。
どの一節も、実行し続けるのは難しいことですが、人間性を高めるには大事なことだと思います。
本日は、貴重なお話をお聞かせいただき、まことに有難うございました。

インタビュアーより

bord-higashiya

30年以上に渡り経営コンサルタントとして勤め上げてきた東矢代表のお言葉は、一つ一つに様々な人との出会いの経験が感じられて、非常に深く説得力のあるものでした。
「守破離」のくだりでは、自分はまだまだ守の段階で、何をするにしても基礎から勉強しなければならないのだと思い知らされました。
これからは、多くの本を読み多くの人と出会うことで人間性を高め、何か熱中できることを見つけて生きているうちに「離」の境地にたどり着けるよう取り組みたいと思います。
本日は貴重なお話をありがとうございます。
大河原 慧

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乞うご期待!

会社概要

社名:四国ビジネスコンサルタント
代表名:東矢 憲二
住所:愛媛県松山市山越5丁目8-17
TEL:089-922-6844
事業内容:・コンサルティング業経営コンサルタント

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