「全所懸命」 | INTERVIEW　WITH　PRESIDENT

人生の転機

西岡代表が代表に就任されるまでの経緯について教えてください。

　私は愛媛県の生まれではなく幼少時から福岡県で育ち、大学卒業まで福岡にいました。大学卒業後6年ほど神奈川県で仕事をしていました。そして今の妻と結婚することになり、縁があって愛媛に来て今の会社で働くようになりました。
　会社を継ぐという前提で婿に入る事になりましたが、幼少時からなじみがあった会社や環境ではなかったので不安がとても大きかったです。

　ただ私の場合は前職で車メーカーに勤めていたので、多少なりともものづくりには関わっていたのが功を奏す形になったのかなと思います。

　もちろん同じものづくりと言っても自動車とは全然違うものですから、入社して間もない頃はとても戸惑いましたし悩んだのを今でも覚えています。

　ですが私は違う環境を経験してきたことを自分の強みだと考えています。九州から四国へ。大手自動車メーカーから中小製造業へ。逆によそからきた人間だからこそできることがあるのではと考えています。

Facebookで事前に調べさせていただいたのですが、大学時代の専攻内容はものづくりとはまた少し違ったものではなかったでしょうか？

　大学時代は人間工学を専攻していました。自分の人生で何度か転機があったのですが、最初の転機が大学入学前でした。もともと私は教職志望だったのです。しかし地元の教育大学に進学するつもりが大学入試の結果を踏まえ急遽、進路を変更しました。

　その時は悩みましたし友人にも相談しましたが、元々ものづくりにも興味がありましたので工科大学に進学を決めました。その時友人に相談しなかったら工科大学に行こうとは思わなかっただろうし、ひょっとすると今頃福岡で教員として働いていたのではないかと思います。

　2つ目の転機はいわゆる就職活動中でしょうか。体を動かすのが好きなこともあって、ある運動具メーカーに内々定をいただいていてそのまま就職しようと考えていたのですが、違う会社の情報収集をしている最中になぜか急に面接のような流れになってしまったのです。

　今の時代では考えられないことですが、当時はバブルの時代で就職活動も売り手市場でしたので、企業がとにかく人を集めたかった時代ならではの事だと思います。
　その急遽決まった自動車会社の面接の際に大きな失敗をしてしまいました。私は面接官の社員さんにかなり強く言い返すような発言をしてしまい、自分自身では落ちたなと感じていたのですが、意見が言えるという面を良く判断をされたのか内定をいただきまして、入社後も大学時代に研究していた内容とリンクするような部署に配属していただきました。

　3つ目の転機は結婚して愛媛に来たことですね。妻との出会いは急遽上司の代わりに参加した飲み会でした。驚くことに妻も同じような状況でその会に参加していたのです。
　日頃から先輩や友人と仲良くさせていただいていたおかげでそのお話が回ってきたのかもしれないですし、本当に運命を感じます。何度も転機が訪れた人生ですが少しでも歯車がずれていたらこの場にはいないですよね。考えたら不思議です。

　壁にぶつかった経験はありますか？

　大企業で数年働いて自分なりの仕事観なども少しずつつかめてきた頃に新居浜に来ましたので、最初は沢山の壁にはぶつかりました。
　やはり大企業とは違い町工場的な会社ですから、私が会社に来た当時は製品の品質管理や会社のルールに問題も多く、仕事を楽しくしている面はありましたが会社としてルーズな部分もありました。そういう面でカルチャーショックはありましたね。

　現在の会長が前代表になるのですが、比較的早い段階から私に仕事をまかせていただいていました。
　先代は言葉数が決して多い方ではなかったので、代表に就任してすぐの時は色々アドバイスしていただきたかったのですが、なかなか意見をもらえず当時の私は少し困惑していました。ですがその分自由にやらせていただいたのでそういう面では感謝しています。
　当時はもどかしくて自分の方から突っかかってちょっとした言い合いになったこともありました。私の描いていた社長像と先代の社長像とのギャップが埋められなかったのです。

　ですがリーダーシップの発揮の仕方は人それぞれで、自分が先頭に立って引っ張るタイプもあれば、みんながすることを後ろから見守りながら時に軌道修正していくようなタイプもありますよね。人それぞれの個性もありますし会社や集団の個性もありますよね。先代とのお付き合いとの中でリーダーシップの形について考えさせられ、理解していくようになりました。

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