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「マネジメントの最大の資源は人である」
むらかみ労務相談事務所
村上 健司 代表
- 2015/11/18
村上代表が考える、企業・経営者のあるべき姿とは
労働者に信頼されるために、企業や経営者としてはどのようなことに取り組むべきなのでしょうか?
残念ながら今の日本社会では、経営者も労働者も、労働契約をあまり重視しない精神論に依存する傾向にあると思います。更に、労働条件を出したことがない、考えすらしなかったという経営者も少なくないと思います。
正社員1人に対して、会社は年間数百万円の人件費を払うわけです。そんな大事な契約をするのなら労働条件はしっかりとその内容を書類として整理しておくべきなのです。そして労働条件を下げざるを得ない時は、隠すことなく彼らと話し合いの場を設けてあげてください。
労働条件を明らかにするだけで労働者はすごく安心できますし、結果的に会社・経営者にとっても利益になるのです。現在取引をしているクライアントは皆労働条件の重要性をしっかり理解されているので、確実に就業規則類を作っています。そしてそのクライアントの方々は「早めに作っておけばよかったわ。ちゃんと理解すればそれほど難しいものでもないんやね。」と皆さんに気付いて頂けております。これも嬉しい反応です。
まずは労働基準法を守ることから始まるのですね。
はい。社労士試験の勉強をし始めた時には、労働基準法は使用者を縛り付ける法律だと思っていました。しかし今では考え方を完全に切り替え、労使間の信頼関係を守るためのコツを教えてくれるものだと私は捉えています。企業が労基法の条文に書いてあることを実行すれば、文句を言う労働者は自然とがくんと減るのですよ。
私はサービス残業をしてまで会社に貢献するようなことを容認するつもりは全くありません。1日8時間、週40時間労働を超えた人間は必ず疲労が溜まりますし、見返りがないまま働いても使用者が欲する成果は上がらないはずだと考えているからです。労働者を酷使するのではなく、法律に則って制度を整え、仕事の進め方を見直し、パフォーマンスを上げることが本当の労務管理ではないかと考えており、私のゴールとする所でもあります。
目指すゴールについて、どなたかモデルとなるべき経営者の方はいらっしゃいますか?
未来工業の山田社長という方ですね。惜しくも昨年お亡くなりになってしまいましたが・・・。山田社長は、「業務のムダを減らす」「会社は社員を幸せにする場」など、私がしたいと考えていることを全部実践していて、しかも社員に残業をさせずに開業以来一度も赤字を出さないという偉業を達成されました。
更に面白いのは、山田社長は社内のホウレンソウさえ廃止したのです。ドラッカーもその取組みに近いことを述べていました。「仕事には権限と責任を与えよ」と。ただし廃止まではなかなかできることではありませんが(笑)
経営者にとっては、実務は思い切って全て部下に任せ、空いた時間で将来の戦略を考え、決断していくことが、変化する社会の中で生き残り、成長を成し遂げていく上で必要になると確信しています。山田さんはそれをちゃんと理解して実践されていたということですね。
現在、注目しているツールやサービスはございますか?
経営者の判断を支援するものとして、クラウド会計ソフトに注目しています。企業の給与計算や記帳代行などが、数字を入力するだけで全て出来て、しかもキャッシュフローや保有資産をリアルタイムで把握・管理できるのです。さながら企業の健康診断ツールと言えます。
更に労働者の側でもタイムカード代わりにスマホから出退勤の時間を送信でき、蓄積されたデータから賃金計算も年末調整も簡単・正確にできるのです。今後は、バックオフィスの自動化・効率化が、特に中小零細企業にとっては大いに役立つキーになると思っています。クラウドサービスを活用して労働環境も整備すれば、政府からの助成金を取れるケースも沢山あります。
驚きました。クラウドはそんなに便利なのですね。
おそらく私の記事を読んだ多くの税理士さんや社労士さんは不快に思うでしょう。もちろん私自身も一社労士として、クラウドサービスの存在には危機感を持っています。つまり、それらの機能とサービス内容は、経営者に対して馴染みやすく便利であるため、我々の業界人も恐れるほど優秀な水準に達しているわけですよ。
ですからクラウドでもできる業務に対しては最低限のサポートにとどめ、労務管理や関連する経営のことについて適切なアドバイスをしていきたい、労働者が持っている色々な考え・アイデアという宝を掘り起こして、企業活動の改善・効率化に繋げていきたいと考えています。
その為にも企業の中には労使間の信頼関係を作ることが必要だと感じていますし、信頼関係作りには社労士という職業が最適だと考えています。こういうことを顧問先の企業さんにも理解して頂いているのです。
労使間に信頼関係があれば、意見交換が盛んになって、労働者の意欲向上にも繋がるのではないかと思います。
おっしゃる通りで、消費者と同じように、企業で働く従業員も何らかの意見を持っているはずです。現場の声を聞き入れられる経営者は、彼らの意見を、将来を見通すための材料として受け止めてくれています。事前のリスク回避に役立ちますし、労働者にとっては非常にストレス軽減になります。風通しがよく、いいアイデアがあれば失敗を恐れず実行できる会社の方が面白く働けます。
必ず成功するプロジェクトなんてありませんし、そんなものを求める人間は経営の本質を分かっていないと思います。失敗して元々の覚悟でいないと仕事なんて任せられません。「成果に対する権限と責任を両方与える。」これがどこまで可能か、それで経営者の器の大きさを量れるのではないかと思っています。
会社概要
社名:むらかみ労務相談事務所
代表名:村上 健司
住所:愛媛県大洲市徳森1190番地12
TEL:090-7148-1470
事業内容:・士業