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「自分に余裕がないと、人に優しくなんてできない」
studio paume
大森 絵美 代表
- 2015/3/30
理学療法士から産後ケアとの出会い
大河原
それでは、インタビューの方を始めさせて頂きたいと思います。
まず、大森代表は現在、産後ケアの普及に努めていらっしゃいますが、社会に出るより前、子供の頃はどのようなお仕事に就きたいと考えていらっしゃったのでしょうか。
大森
私の場合は中学生の頃からリハビリテーション関係の仕事をしようと強く思っていて、理学療法士を目指していました。
大河原
それが子供の頃からの夢だったのですね。
理学療法士やリハビリのことについて勉強しようと思ったのは何故でしょうか。
大森
元々人に関わる仕事がしたいと思っていたのですが、その中でも理学療法士は病気や怪我を負って体が不自由な方を、元気にして社会復帰に繋げていける仕事で、そこにやりがいや面白さを感じました。
自分が関わることでその人の人生がもう一度取り戻せる仕事ってとても素晴らしい、私もしてみたいと思ったのです。
高校を卒業した後は高知にあるリハビリテーションの専門学校に進学をして、そこでますます理学療法士という仕事の奥の深さを感じました。
在学中に理学療法士の資格を取り、10年間は理学療法士として病院に勤務していました。
大河原
高知の学校に行ったというのは、何か魅力的な事があったのでしょうか。
大森
私が進学した時代にはリハビリテーションの専門学校自体が少なく、どこの学校も志願倍率が高く受験者は併願するのが当たり前という感じでした。
その中で高知の学校は合格発表が一番早かったのと、そこには高校の先輩が入学していまして、中の様子や環境が良くわかるというのもありました。
大河原
学校に入るだけでも大変だったのですね。
それだけに、講義や実習にも熱心に打ち込めたかと思います。
大森
そうですね。
子供の頃から思っていたことではあるのですが、高知の学校に進学して、ますます奥の深さを感じました。
リハビリテーションの専門学校では医療機関で約半年の実習をしなければいけません。
私の行っていた学校では3か所で2ヶ月ずつ行くようになっていました。
というのは、1人の患者さんに2か月ぐらい関わってトレーニングをしていかないと、結果が出ないからなのです。
その中でじっくり時間をかけて、患者さんと1対1で付合ってみると、やはり病気や怪我を負ったりしたことで仕事を失うかどうか、家族が支えられるかどうか、高齢者の方であれば自宅で暮らせるかどうかの瀬戸際になったりと、私たちの仕事が担う物はすごく大きいことが判り、同時に大変なプレッシャーも感じました。
大河原
理学療法士の方のお仕事の取り組み方一つで人生が変わってしまうのですね。
選ばれたのはどうしてでしょうか。
大森
はい。
ですからいい加減な仕事は出来ないしとても責任重大な仕事だと思いました。
大河原
その中で、大森代表ご自身がどのような形でリハビリテーションをしていきたいかという、より具体的なビジョンも生まれたのではないかと思います。
大森
そうですね、理学療法士が関われる分野はとても幅広くて、病院や介護施設だけでなく、教育現場や小児の発達に関わる方もいらっしゃいます。
私の場合は小児に関わる事を専門にしていた時期もあったのですが、その中で障害を持った子の母親達に触れあう機会があったのも、今の産後ケアに繋がっていると思います。
大河原
なるほど。
その頃から、母親に寄り添える存在になりたいと考えられたのですね。
大森
そう出来るようになりたいとはすごく感じていました。
しかし小児に関わり出した時はまだ結婚をしておらず、当然子供も産んでいない時で、「結局先生は子供を産んでないからわからないですよね」「結婚もしてないしね」と言われることがよくありました。
その時は仕方ないなと思っていたのですが、結婚して出産もしたらそれが変わったかというとそうではなく、「先生の子供は元気だから」と言われたり、また私の上の子が障害児なのですが、同じ障害児の母親同士でも、「先生の子供は程度が軽いから」と言われてしまうのです。
だから、本当の意味で心に寄り添うことはとても難しい事で、自分が出来ることを一生懸命するしかないと思います。
大河原
助けてあげたいと思っている方からそのようなことを言われると心が折れそうですが、人の気持ちを汲み取る難しさを経験しながらも、敢えて産後ケアという、いっそう母親や子供に寄り添うお仕事を選ばれたのは何故でしょうか。
大森
理学療法士という、人の体を看る仕事をしていたので、出産を乗り切ることには結構自信があったのですが、子供を二人産んでみたら、腰痛や骨盤痛などの産後の不調が出たり、また産後うつになったり主人とのすれ違いも起きたりもしました。
産後クライシスという言葉があり、最近、芸能人の方が離婚されてよく聞かれるようになりましたが、我が家はその一歩手前まで行ってしまったのです。
産後ケアについて知識がありながらも、私はそうなってしまったということは、そういうことを教えられる環境にない人達は、産後クライシスになって当然だと思いました。
そして、今の日本は、産前の母親に対するサービスは母子手帳や助産師さんからの栄養指導などがあるものの、産んだ後は、赤ちゃんに対するケアはあっても母親に対するケアがなくなってしまうのです。
育児休業の制度は既にあって、それ自体は大事なものですが、母親の体の不調に対して具体的なケアをしてくれるわけではないし、私はそのことに対して問題意識を持っているのです。
*産後クライシス・・・出産後に夫婦仲が悪化すること。
会社概要
社名:studio paume
代表名:大森 絵美
住所:伊予郡砥部町拾町7-4 2F ホンぷりCafe内
TEL:080-5669-3566
URL:http://studio-paume.com
事業内容:・生活関連業/娯楽業