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「どんどん前に進んで階段を上り続けて欲しい」
株式会社 三日月とカフェ
橘 洋二 代表取締役
- 2014/6/23
人としての生き方、自分としての在り方。
誰もが抱える不安や悩みの中で、自問自答を繰り返し、深め、追求し続ける橘代表の価値観とは・・
杉脇
本日はよろしくお願い致します。
では早速ですが経営者になった経緯をお教えいただけますか。
橘
もともと創業当初は父親が経営者だったんです。
僕は大学卒業後に、この店舗の店長を任されて仕事をしていました。
それから8年経って独立して、そこからが経営者ですね。
杉脇
お父様が経営者で、その元で働かれていたんですね。
経営者になる以前は、どういった感覚でお仕事をされていましたか。
橘
とにかく目の前の仕事で精一杯でした。
頭を使うよりも、体を使っていたという感覚です。
ただ、責任感は人一倍強かったので、絶対に逃げないと決めていました。
「父親から任された城を守る」という気持ちで当時はやっていました。
杉脇
なるほど。
大学卒業後、すぐにカフェの店長ということですが他に就きたい仕事や興味のある仕事などはありましたか。
橘
会社経営をしている父親に対して「その手伝いをしたい」と思っていましたから、その辺はあまり無いですね。
他の会社の内定も出ていたのですが、父親が店を任せたいと言ってきた時、そちらに行く選択しか僕の中には無かったです。
杉脇
迷いはなかったのですね。
そこから経営者として独立されるきっかけとなった出来事はなんでしょう。
橘
僕は男三兄弟の次男なんですが、長男が先に会社を立ち上げていたんです。
経営者としての父親の姿を僕達はずっと見ていたから「兄弟3人が経営者となって、これから先も同じ視点、同じ立場でやっていこう」という長男からの提案があり、僕もそれに納得したのがきっかけの一つですね。
杉脇
素敵なご兄弟関係だと思います。
実際に店舗の店長から経営者になるというのは、どういった変化がありましたか。
橘
まず、経営者になって一年目は単純に「考えることが増えた」です。
店長として店舗で働いているときは、主にお客様満足の追求に力を注いでいました。
それが店として当然の事であり、むしろそれしか考えていなかったのですが、経営者になると経営の観点を含め従業員のことや雇用や収益を生むこと色々考えますよね。
二年目には、ある方との出会いがきっかけで色々な経営者の方が勉強している場で僕も学ぶ機会がありました。
そこは経営について真剣に学んでいる経営者の方ばかりで、その方々からたくさんのフィードバックを頂き、衝撃を受けましたね。
今まで自分は何をやっていたんだと。
杉脇
経営に関して真剣に取り組み、他の経営者の方々に触れることで色々な変化や気づきを得るきっかけになった。
ということでしょうか。
橘
そうです。
そして三年目は、じゃあ「自分は何がしたいんだろう」と考えるようになりました。
これは経営に限った事だけではなく、従業員や家族、関わってくれている人たちに対して「僕は何を生んで、何を与えられるのか」であるとか「自分は何のために生まれたのか」という、人としての生き方を問うていました。
杉脇
橘代表は自問自答されるタイプですね。
僕もそうです。
橘
そうですね(笑)
そこで行き着いた結論…というわけでは無いのですが
今、会社を経営し、生きていく上でのテーマは
人に感謝すること
人を許すこと
人を愛すること
ですね。
杉脇
やはり心の部分をすごく大事にされていらっしゃいますね。
挙げられた3つのテーマは、人間として当たり前に出来ておきたい所なのですが、
いざ実践するとなるとなかなか難しいですよね。
橘
はい。
だからこそ「日々まじめに 日々コツコツと」という言葉が大切なのです。
この言葉が全ての中心にあると考えています。
日々まじめにコツコツと、感謝や愛することを実行に移していく。
そうすると自分の心も穏やかになり、満たされていきますし、相手側の心も満たされるかもしれない。
この考え方を忘れると、お客様にも来店して頂けなくなるので。
杉脇
そういった考えに辿り着いた経緯やご自身の過去の経験や人との関わりで、
ターニングポイントとなったものはなんでしょうか。
橘
話の始めにも少し触れましたが、父親の存在は非常に大きかったです。
昔は父親に認めてもらいたい、褒めてもらいたい、喜んでもらいたいと思って、
ずっと仕事をしていました。
杉脇
なるほど…。
やはり経営者でもあったお父様は、シビアで厳しい方だったのでしょうか。
橘
いえ、その逆ですね。
父親は本当に広くて深くて、暖かい人でした。
今それだけ父親に思いがあって、自分も経営者としてここまでやってこられたのは、
父親が人生を僕たち家族に捧げてくれたという感覚があるからです。
杉脇
素直にそう表現されるのがすごいと思います。
僕自身も、両親はすごく尊敬していて、こんな親を目指したいなと思うことが多々あるのですが、
それを素直に言葉にするのは難しいです。
橘
先ほどの
人に感謝すること
人を許すこと
人を愛すること
というテーマの話ですが、究極は親だと思うんです。
親に感謝して、親を許して、親を愛すること、ここが一番難しくて一番必要なことだと思っています。
杉脇
確かにその通りだと思います。
今までの話をお聞きしていて、やはり経営のノウハウや論理というのも勿論大事なのですが、
橘代表はどちらかというと思考的な面や心理的な面をとても大事にされているのかなといった印象を受けます。
その辺りはどうでしょうか。
橘
そうだと思います。
一日に考える時間の6割は、人や心の事を考えていますね。
経営の事を考えるのが残り4割くらいの比率ですが、人や心を考えることが結果的に経営に繋がることでもありますから。
杉脇
それは人材教育や従業員の方とのコミュニケーションといった部分のことでしょうか。
橘
そうです。
そこも非常に重視しています。
いかに働く人たちが笑顔でいられるかを考えますよね。
杉脇
実際にどういった事を理念やビジョンにされて人材について考えておられますか。
橘
僕がビジョンにしているのは、一言で言うと「家族に誇れる会社」です。
日々まじめにコツコツと仕事をする事は大変ですよね。
しかし適当な考え、適当な仕事で、人のことを考えずに上辺な姿で仕事をしていたら、
そんな姿は家族に誇れない。
「そんな親の姿を自分の子どもに見せられるのか」と投げかけることもあります。
杉脇
その投げかけは、結構効きそうですね…
しかし、とても大事な事だと思います。
橘
人生は、修行だと思うんです。
長い道のりの中で厳しいことや、つらいことを乗り越えて、また一つ人間的に成長する。
しかし「人生は修行だ」なんて考えながら生きていると、しんどいじゃないですか。
それをいかに前向きに捉えられるかが大事で、その手助けとなるのが人との関わり合いで、思いやりで、チームワークであると考えています。
杉脇
勉強になります。
人との関わり合いや思いやりが、人生を前向きに捉えられるようになる要素…という事ですね。
では、ご自身がコミュニケーションをとる上で大事にしていることをお聞かせください。
橘
「表面的に付き合うんだったら、付き合わなくていい」という考え方は持っていますね。
例えばお客様の視点で言うと、なにか物を購入する時、それは商品の価値だけで購入しているのではないんですよ。
「誰から」それを買うかも大事な要素ですよね。
従業員の視点でもそうです。
経営者からの愛を感じないと、従業員は動かないし、お客様の事まで目が向かない。
だからこそ、互いに深い関係を築けるようなコミュニケーションを目指しています。
杉脇
では、従業員の方とも頻繁にコミュニケーションを取られるんですか。
橘
もちろんです。
よく話をしますよ。
一年くらい前までは、ただ自分の考えを教えるとか、伝える事ばかりだったんですが、
今はしっかり話を聞くことを意識して、話をしていますね。
杉脇
非常に分かります。
僕自身も、つい自分の話しばかりしてしまうタイプなので最近は傾聴することを意識しています。
橘
傾聴ほど難しいものはないですね。
どうしても、自分のくだらない考えが相手の意見を邪魔をしてしまいますから。
最近、聞くことを意識していると言いましたが、本当の傾聴をするともう相手の表情が違うんですよ。
それを見て自分も嬉しい気持ちになる。
杉脇
耳だけでなく、心を傾けるという事ですね。
橘
そうです。
僕自身、お客様との会話の中で涙することも感動することもあります。
そして、自分の話でお客様が涙することもある。
そういった時に本当に繋がることができたと感じるんです。
杉脇
その関係性、とても素敵ですね。
理想的だと思います。
橘
そうやって、お客様が人材育成をしてくれているんです。
お客様は人生の先輩ばかりなので、学ぶことばかりですね。
自分としての理想は、従業員の悩みをお客様が聞いてくれるという関係なんです。
そんな関係を今後つくりたいですし、それが素晴らしい関係だと思います。
誰もが、本質的に人と深く繋がりたいと思っていると思うんです。
人はひとりでは生きていけないので。
杉脇
その通りですね。
最近、僕もそれをよく痛感いたします…
では最後に、大学生へのメッセージをいただけますか。
橘
自分の身の回り、もしくは自分の身に起きていることは、これから先必ず自分にとって役に立つ経験になると思います。
嬉しいことは、そのまま受け入れられるけど、つらい時どうしても逃げてしまう事がある。
そこを逃げないで欲しい。
杉脇
逃げずに立ち向かっていくと。
橘
そう。
どんどん前に進んで、階段を上り続けて欲しい。
今はそれでいいんです。
ただ社会人になってからは、たまには階段を下りる勇気を持った方がいい。
意識的に、階段を下りる選択をすることで、事が進むときもあります。
自分の過去を振り返って、そこを見つめる。
登ってきた階段は、一人で登ってきたんじゃないと気づいたとき、そこに感謝が生まれます。
だから、あえて下りる。
杉脇
人として、社会人としてこれから生きていく僕たちにとってとても大切なメッセージだと感じました。
本日は貴重なお時間頂き、本当にありがとうございました!
人との関わり合いの中で、自分自身を見つめ追求していく。
それはきっと「働く上で重要なこと」や「経営者として大事なこと」以前に人として自分がどう生きるのか、それを考える上で大切なことだ。
橘代表の言う「人に感謝すること、人を許すこと、人を愛すること」の「人」には「自分」も「相手」も含まれる。
ひとりでは生きていけない人間に生まれたからこそ、深く関わり合い、助け合い、愛し合いながら、これからの自分へ向かっていきたい。
杉脇丈紘
乞うご期待!
会社概要
社名:株式会社 三日月とカフェ
代表名:橘 洋二
住所:愛媛県松山市井門町2-2
TEL:089-989-1929
URL:http://mikazuki-cafe.jp
事業内容:・宿泊業/飲食業