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「王侯将相 いずくんぞ 種あらんや」

ネットバースト
永野 護 代表

  • 2014/11/4
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大河原
本日は、よろしくお願い致します。
まず、永野代表は、学校を卒業されてからはどのようなお仕事をされていたのでしょうか。

永野
私は中学時からブラスバンドをしており、音楽が好きだったので、大学時代のアルバイトではPAという、コンサートの音響スタッフをしていました。
また、その流れで、大学卒業後はTV局の下請け会社でADとして2年間働いていました。

大河原
ADさんは大変なお仕事だと聞きますが。

永野
はい。
私の仲間が7人くらいいたのですが、入社して2ヶ月で私より上が全員辞めていくという凄まじい状況でした。
私も頑張ってはみたのですが、2年経って「これはもう無理だ」と思い退職をしました。
次は、これもまた大学時代に飲食関係のアルバイトをしていたのと、両親が飲食店を経営していたこともあり、外食産業に就こう考え、東京の、ある焼き肉チェーン店に入って、そこでは10年ぐらい勤めました。
そこで店長、マネージャー、SVとキャリアアップして、最終的には3店舗を担当させて頂きました。
とはいえ外食産業もまた厳しい業界で、競争が激しい上に労働環境も良くありません。
今でこそ残業100時間でブラック企業と批判されますが、私の時代は残業300時間で家に帰れないということもよくありました。
そのような環境だったので心と体を壊してしまって、ちょっと地元に帰って静養しようと考え、松山に帰ってきたのが29歳ぐらいの時です。
その後は、外食繋がりということと、ホテルの仕事についても勉強もしてみたいと思い、松山市内のシティホテルに就職しました。

大河原
なるほど。
ホテルだと料理だけでなく接客やサービスのことも経験できますね。

永野
そうですね。
東京にいた頃に、お店を経営することについては大体理解できたので、今度はホスピタリティなどをもっと学び、サービスマンとして自分の能力を上げてみようと思ったのです。
しかしながら、私は焼肉店のマネージャー時代にかなり実績を上げていたのですが、その時の経験を元に仕事をしていたら上司と対立するようになり、とうとう干されました(笑)
そこで、双方の時間の無駄だと思い、コールセンターに勤めました。

大河原
音響から外食、ホテルからコールセンターと、沢山の業種を渡り歩いていらっしゃいますね。
コールセンターではどのようなお仕事をされていたのでしょうか。

永野
ここで、今の仕事に繋がる、法人向けのレンタルサーバーのサポートをする部署に配属されたのです。
元々コンピュータは自作するほど大好きでしたが、ネットワークについては全然知りませんでした。
ですが、仕事をするうちに、ホームページが表示されたり、メールが送受信できることの仕組みを徹底的に学ばせて頂きました。
プライベートでもサーバーを組んだりウェブサイトを作っているうちに、「ネットショッピングを自分の事業として始めてみよう」と考えました。
また、当時のコールセンターの給料が手取りで13万円、昇給しても年にせいぜい50円や100円という話を聞いて、30歳を超えて手取り13万円では将来が危ういと感じ、当初はコールセンターとの兼業という形でネットショップを始めました。
これが2008年のことです。

大河原
なるほど。
ありがとうございます。

永野
また、今でこそスマホがすっかり普及していますが、当時はガラケーが主流で、ガラケーで買い物することがメジャーになってきていたのです。
そこで、PCからの流入はほとんど無視して、ガラケーに特化した専門のネットショップを作ってみたら、半年後にはコールセンターの給料の2,3倍の利益が出るようになりました。

大河原
そんなに利益が出たのですね。
元々趣味で始めたことの方が本業よりも稼げるようになったら、コールセンターを辞めてそちらに一本化しようと考えたのではないでしょうか。

永野
いいえ、その時点ではまだ完全独立しようとは考えていませんでした。
コールセンターの仕事は2006年から2010年まで続けていて、ちょうど半分の時にネットショップを作りました。
退職した理由としては、朝9時から夕方6時までコールセンターの仕事をして、夜の2時や3時まで自分のネットショップ運営に充てる生活をしていたら体を壊してしまい、療養も兼ねてネットショップの運営に専念しようと考えたのです。

大河原
そこで完全に独立されたのですね。
ネットショッピングで利益を出せるようになったということですが、お客様の顔が見えない取引なので、トラブルも多かったのではないでしょうか。

永野
そうですね。
私が運営していたネットショップは、支払い方法が代金引換と銀行振込だけで、受取拒否によるトラブルが結構多かったのです。
それで結構な大赤字を出して、カードローンで200万円を借りて立て直すことにしました。
そして、その時思ったのが、「在庫を抱えるビジネスは危なすぎる」ということでした。
勿論、きちんと管理して売上が出れば事業として成立ちますが、仕入れをすることで先にお金が出て行くのはリスクが大きいと思ったのです。
その時にアフィリエイトというものに出会いました。
在庫は要らない、顧客管理をする必要もない、受取拒否でのトラブルもない、仮に末端のお客様が受取を拒否したとしても私には何の影響もない、ということで、アフィリエイトに大きく舵を切りました。

大河原
確かに、在庫のリスクがないのは個人でお仕事をする上では大きな利点ですね。

永野
といっても、アフィリエイトではすぐに収益は出なくて、2011年の11月に始めてから2013年の4月ぐらいにやっとアフィリエイトの収益がネットショップの利益を上回ったのです。
また、同じ年の8月に初めてFacebookページの存在を知ったことで、連絡手段としか思っていなかったSNSが、「ビジネスになる」ということに気が付来ました。
それまでの私のアフィリエイトはSEO、検索エンジン最適化といって、例えば「ダイエット」「効果抜群」といったキーワードで検索エンジンの1位にサイトを表示させて、そこにお客様を集めて申込数を増やして報酬を頂くという仕組みだったのですが、2013年にもなるとスマホがかなり普及していて、TwitterやFacebook、LINEといったSNSを利用している人が多くなってきました。

大河原
私の周りにもアプリを入れてSNSを利用している人が多くいます。

永野
そうでしょう。
検索結果の上位に出るようにするよりも、ダイレクトにSNSで宣伝をした方が効果的ではないかと考え、Facebookの使い方を勉強し、必死にリサーチをしました。
そして2013年の末にショップの方は閉めて、それからはSNSを利用したアフィリエイトに絞りました。
今ではFacebookで十分な成果を出せるようになりましたが、TwitterやLINEといった、他のSNSにも実はある程度同じ方法が使えるのです。
ユーザーの考え方であったり属性であったり、そういうものが他のSNS媒体にもそのまま適用できるということがわかりました。
しかしながら、松山でこれらのSNSをちゃんと広告宣伝に活かしている会社というのは殆どありません。
「いいね」が増えない、フォロワーが増えない、書いてることは店の宣伝ばかり。
あれでは受けるはずがないのです。

大河原
広告然とした書き込みではなく、もっと経営者さんや従業員さんの人柄が見えるような、日記みたいな感じにした方がいいのでしょうか。

永野
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そうですね。
SNSって他のユーザーさんに共感して頂くことがとても重要になっているのです。
私がよく口にするのが、「喜怒哀楽+驚き」です。
この5つの感情に訴えかけないと、SNS上で受け入れられないということを説明しています。
例えば、投稿する記事が経営者さんの苦労話であれば喜怒哀楽のうち哀しみの感情に触れます。
また、お店でいいことがあった、新しい服を買ったということであれば、喜びや楽しみの感情になるでしょう。
そのように、SNSという大きな媒体を使用して色々な企業と仕事をする中で、人の感情を刺激することが凄く大事なことだと知ったのです。

現在では私のノウハウは十分に他人に教えられるものになり、色々な方に助言したりコンサルティングをする仕事も段々入ってくるようになりました。

大河原
なるほど。
これからは松山や愛媛の企業さんに「喜怒哀楽+驚き」をどのように意識してSNSを使っていくかを助言することに取り組もうとされているわけですね。

永野
そうですね。
この5つの感情を基本にして、FacebookやTwitter、LINEをどのように運営していけばフォロワーさんが増えるか、お店のファンになって頂けるかということを教えていこうとしていますし、既に何名かの経営者の方に教え始めています。
最近ではコワーキングスペース「ダイヤモンドクロス」の中で、「LINE@(ラインアット)」という、個人ではなくお店が持てるアカウントを中心に集客をしていこうという流れができています。
LINEの使用率は半端じゃないのです。
学生さんもそうですし、全ての年代に言えることですが、LINEに通知が来たらまず見るじゃないですか。

大河原
そうですね。

永野
あるお店でちょっとしたイベントをして、LINE@で告知をしたら、告知をした人数の3割が来店しました。
これは他の広告媒体と比べてはるかに高い割合で、これからはLINE@を中心に、お店が情報発信をして集客に繋げていくやり方を研究していくつもりです。
また、YouTubeの方も勉強をしていて、例えばお店で料理を作っているところや、実際に店員さんがサービスをしているところなど、15秒や30秒位の短い動画を作ってLINEに流すといったことも視野に入れています。
LINE@とYouTube、ゆくゆくはこの2つが松山の活性化において中心になるサービスになってくると思いますし、お客様の負担にならない、かつ集客に効果があるツールを中心にコンサルティングしていこうと考えています。

大河原
時代を先取りした話を聞いてるようです。

永野
現に、LINE@のコンサルティングを出来る会社はまだありません。
喜怒哀楽+驚きの感情に着目した、「SNSの上手な活用法をソリューション化して立派な事業に成長させる」ということを考えています。

大河原
とても期待して、力を入れていることが伝わってきました。

永野
なにしろSNSは、企業やお店のサービス内容だけでなく、その中にいる方々の感情もダイレクトにお客様に伝えることが出来るメディアです。
しかもLINE@自体は月5,400円で使えて、紙媒体の広告やホームページ作成に比べて広告主の負担がはるかに少なくて済みます。

大河原
言われてみれば、SNSは紙媒体やウェブサイト作成と比べて初期投資が少ないですから、あまり広告にお金を掛けたくない中小企業の方も、喜ばれるのではないかと思います。

永野
加えてリスクがほぼ0という利点もあります。
仮にメッセージを送って反響がなかったとしても、次のメッセージを送るのに追加料金はかかりませんし、そのままサンプルデータとして残せます。
また、資金的余裕に乏しい事業者様の中でも、飲食店やネイルサロンなど、家族経営の店舗や会社をターゲットにしています。
私は松山市二番町で生まれて、大街道や銀天街にアーケードがなかった時代に幼少期を過ごしましたから、商店街への思い入れが深いのです。
しかし、商店街活性化のための話し合いで私が発言をしても、出席者の方々は中々聞いてくださらないのですよ。
だったら、別に大街道や銀天街にこだわらずに、ソーシャルメディアを使った集客で色々なお店を成功させて、それを商店街の方たちに結果として伝えればやれば、考え直してくれるのではないかと思います。
誰も儲かっていない状態で話をしても伝わらないので、じゃんじゃん儲かって仕方がないという事例を作った上で、商店街へのソーシャルメディアの導入を促して行こうと思います。

大河原
いずれは商店街の色々なお店がLINE@などを使って集客をし、活性化につながればいいですね。
私も期待したいです。

永野
そうですね。
リスクも殆ど無いし、商店街には小さいお店が多いので、うってつけなのですよ。
ただ、私は必ずしも全部のお店に導入されなくてもいいと思っています。
本当の活性化というものは、個々のお店が持つ集客・売上増加の能力の底上げをして、生き残るお店は生き残り、淘汰されるお店は淘汰される、そして生き残ったお店が力を付けることで達成されるのだと思います。
この社会は理不尽で、弱い人は負けて強い人が残るのが現実です。
また、私自身も全員救えるとは思っていません。
必要だと思って導入してくれる人に対してはフォローしますが、それに乗らない人は乗ってくれなくてもいいと思っています。
意欲ある人の能力を底上げして、それによって大街道・銀天街が生き返る、それが私の描いているイメージです。

大河原
有難うございます。
現在はコワーキングスペース「ダイヤモンドクロス」でお仕事をされていますが、その利点とは何でしょうか。

永野
何よりも、私が持っていない高いスキルを持っている方と出会えたことですね。
私はSNSに特化していますが、他にもホームページを作ることに特化していたり、コピーライティングができる方だったり、室節代表みたいに県や市と直接つながりがある方だったり、私にはないものを持っている方と出会ったことで、ものすごく視野が広がって、コラボレーションができるようになったのです。
その道の専門家の方々とお互いに話をしていると、私が話すSNSのことについて他の方々は気付きがあるし、逆に私は色々な方からそれぞれの分野について学ぶことが出来ます。
おかげで、仕事が以前に比べて楽しくなりました。
だから私は毎日ここに通っているのですよ(笑)

大河原
専門家同士のお話から生まれたアイデアはとても興味があります。
話を戻しまして、SNSを使った広告について、最も重視していることはなんでしょうか。

永野
SNSって流行に敏感なのですよ。
例えばTwitterでの本当にしょうもないつぶやきが大ウケして、大勢の人に拡散されることがあります。
次はどのようなトレンドが来るのか、その時にどれくらいバイラルが起きるかを予測して、それに向けた情報収集や仕込みをする必要があります。

大河原
トレンドを先取りするためにどのようなことをしているのでしょうか。

永野
全てはリサーチです。
SNSで何が流行っているかとか、何故これがバズっているのかとか、それをTwitterやFacebookやLINE上で毎日見ているのですよ。
その上で流行っている理由を考えて、バイラルが起きる前に何かを仕込んでおくというのが、SNSにおけるマネタイズのポイントです。
しかしはっきり言って、失敗しているケースのほうが多いです。
とにかく色々なサンプリングをして、色々な物を自分の媒体に上げて、10個の内2~3個がバイラルが起きる、その繰り返しです。
バイラルとは口コミによる拡散という意味です。
それの動詞型が「バズる」という言葉で、例えばTwitterで大量にリツイートされるのもバズる現象の一つです。

大河原
私もTwitterをしていますが、そういったマーケティングの手法があることは初めて知りました。

永野
それはエンドユーザーの思考どまりだったら、気付かないと思います。
おそらく連絡手段や日記帳代わりにTwitterを使っている方が殆どなのでしょうが、見方を変えて、「何故沢山リツイートされたのだろう」「何故お気に入りされたのだろう」と考えながらTwitterを利用すると、将来のビジネスに繋がると思います。
常にそういう見方をしていたら、観察力や発想力が養われます。

大河原
「なんで」という疑問の気持ちを持つことは、私も大事だと思います。

永野
我々が今使っているメディアは世の中で沢山の人が使っていて、当然ビジネスに使えるツールなのです。
個人の日記帳や連絡手段に留めるのではなくて、いざ​自分が事業を始めた時にTwitterをどう使おうかと考えながら接していると、そうでない人よりもスタートラインが若干前になるでしょう。
事業を始めた後でTwitterをビジネスに使おうと考えていては遅いのです。
常日頃からリサーチをし、自分のアカウントで何か大きな変化があったら「何故その変化が起きたのか」というのを、自分なりに探求していく姿勢が必要だと思います。

大河原
そこで自分なりに考察して得た知識やノウハウを、今度は自分が起業する時に活かせるのですね。

永野
その通りです。
どのみち、これから起業するにはウェブ戦略は避けては通れないでしょう。
その時に自分なりにSNSの運用方法にある程度精通し、SNS上での変化について研究・考察を重ねておけば、他よりも有利になるのではないでしょうか。
実際若い人の感性って若い人じゃないとわからないですから。
私も一生懸命リサーチして理解しようとはしますが、Twitterには独特の文化があり、しかも若年層が多いので、20代や10代のユーザーがリツイートしているものについて、不思議に思うことがよくあります。
私も一生懸命調べるのですが、源流にたどり着くのに時間がかかります。
でも、若い人たちはリアルタイムでTwitterを使って、バズっている枠の中にいるから、見たら「あっ、これはココがポイントなんだ」ってすぐ分かるじゃないですか。

大河原
流れの真っ只中にいますからね。

永野
それこそ私みたいなおじさんにはない強力なアドバンテージですよ。
Facebookはまだ年齢層が若干高いからバズっている理由を探し出すノウハウが自分の中で出来上がってるのですが、Twitterはまだ謎です。
自分でも面白くないと思ったつぶやきが突如バズったりしますから。

大河原
私もそういうことがたまにあります。
Twitterだと、ユーザー同士のクラスタが出来ていて、人それぞれフォローしてる人、されてる人の趣味嗜好に大きく影響されることもあるのではないでしょうか。

永野
それは十分に考えられますね。
ただ、残念ながら私はそこまでリサーチできておらず、せいぜい外部サイトのリツイートランキングどまりになっているからTwitterでのマーケティングは中々伸びてないのでしょう。

大河原
今永野代表がFacebookやLINE@でしていらっしゃるようなことを、Twitterでする人が出てくる可能性がありそうですね。

永野
私も出てくるとは思います。
そして私に教えて欲しいです(笑)
仮にTwitterマーケティングを極めたという方がいらっしゃったら、どなたでも私は教えを請いに行きます。
年齢も男女も問わず、卓越したスキルを持っている方にはきちんと頭を下げますよ。
ただそこは私も狙っているところですし、あくまで苦手だから手を出してないというだけであって、黙って見過ごすつもりはありません。

大河原
有難うございます。
他に、SNSでの集客やアフィリエイト以外で、全く新しいことに取り組んでみたいということはあるのでしょうか。

永野
考えていませんね、SNSが自分の天職だと思っているので。
これほど私にピッタリのスキームはないと感じていますし、充実しています。
これの前にしていたSEOも、SNSほどには極められませんでした。
それに、これからスマホのユーザーはまだまだ増えるでしょうし、逆にどんどんPCの使用率は下がっていくでしょう。

大河原
大学生がレポートをスマホで書くという話も聞きますね。

永野
ですから、これからはスマホがもっと発達して、機能も充実して、掌の上で全て済む時代になると思います。
SNSというものはその流れに必ず付いて回るので、mixiが廃れた後にTwitterやFacebookやLINEが台頭してきたように、それに続くまた新しいメディアが出てくることもあり得るでしょう。
その時に、いち早くそのメディアに注目して、先取りして運用してノウハウを作っていく、ということの繰り返しだと思いますし、実際に新しいメディアがどんどん出てくるので、私はもうずっとこの世界で生きていこうと思います。
外食産業にはもう戻りません(笑)

大河原
有難うございます。
これから新しいツールがどんどん出てくるとは思いますが、私もその流れに取り残されないよう、アンテナを伸ばしていきたいと思います。
最後に、若者へのメッセージをお願いします。

永野
私は独立は素晴らしいとか夢があるとか、それ自体は否定しません。
しかし、実際にインタビューに出ている方々が大学を卒業してすぐに起業しているかと言ったらそうではなく、皆一度はどこかに勤めに出ています。

大河原
確かにその通りですね。

永野
特に将来独立したい学生さんに向けて言いたいのは、在学中にアルバイトをするのだったら、小遣い稼ぎで終わるのではなく、リーダーや時間帯責任者など、上の立場を目指して働いて欲しいと強く思います。
アルバイトの職場も、言ってみれば社会の縮図なのです。
お客様がいて、同僚がいて、店長・責任者がいて、実際に会社で働くのとほぼ同じような環境なのです。
そこで仕事の能力を身につけるだけでなく、上手く仲間と付き合いながら店長に気に入られつつ昇進をしていく、といったことを体験して欲しいです。
何かの世界で一番にならないと仕事なんて取れませんので、起業を目指すならアルバイトもそういう気持ちで取り組んで欲しいと思います。

大河原
「たかがアルバイト」と思わずに、そう考えて働くと、本当に社会に出た時の振舞い方の勉強になりますね。

永野
はい。
また、起業を目指すなら一度は会社に就職して、実務経験を積んでから独立すべきです。
これは明確な理由があって、私も社会経験をしていない人と仕事をした経験がありますが、実際に仕事をしたら、請求書の書き方が解らない、企画書が滅茶苦茶、稟議の上げ方も知らない、更にはクライアントと会って食事をする時に場違いな格好で来たりするのです。
一度会社に入って少しでも痛い目を見ていれば、そんなことはしませんよね。
ちょっと極端な話をしますが、私がいた外食チェーンはいわゆるブラック企業でした。
ブラック企業を肯定するわけではないのですが、見方を変えればそれはチャンスなのです。
その理由は、ブラック企業は慢性的に人手不足で、早い段階で管理職など責任あるポジションに就かされることが多々あります。
私も入社して3年目にはSV・マネージャーとして3店舗を担当していました。
そして独立した後は、人生の中で一番きつかった外食産業時代にヒト・モノ・カネの管理をした経験が一番活きているのです。
これはもう間違いありません。
ネットショッピングでの受取拒否の話をしましたが、お客様の中には理不尽な方がいらっしゃいます。
それは外食産業でも同じで、そういうことをサラリーマン時代に嫌というほど味わう中で、耐性ができていったのです。
ですから、学生時代にアルバイトをせず、社会人経験もなしに独立することは、裸でアマゾンに行くのと同じくらい無謀な行為です。

大河原
なるほど。
ブラック企業は社会の理不尽さを勉強する場だと割り切ることが大事ですね。

永野
そうですね。
私の個人的な感想では、外食産業で5年働いたら精神力が鍛えられて、外に出ても負けることはないと思います。
更に、サラリーマン時代に人に使われる苦労や人を使う苦労を知っていれば、日頃から相手の立場に立って考えて行動できるので、自分が困ったときに勝手に周りが助けてくれるのです。
私も独立してからの苦しい時期に、知り合いが仕事を持ってきてくれたり、助けてくれることがありました。
反面、そういう苦労を知らずに起業したら、当然相手を思いやることを知る機会がありません。
すると経営が苦しくなっても誰も助けてくれず、結局倒産してどこかに就職することになるのですが、それまでいい思いをしていたことが忘れられずに、昔の金銭感覚のままでお金を使ってしまう、という事例が多々あります。

大河原
これまでインタビューをさせて頂いた経営者様の多くが、人との「縁」に助けられたとおっしゃっていましたが、確かにそれも経営者になるまでの苦労のおかげだと思います。

永野
ですから、起業したい学生さんは、まずはどこかの会社に就職をして「給料をもらいながら社会勉強をしている」と思って3年ないし5年は働きましょう。
そして、会社の中でビジネスマナーや最低限の社会人としての常識を学んで下さい。
言わば、起業を目標とした就職ですね。
自分は勉強させて頂いているのだという感覚でいれば、給料が安くても扱き使われても、それほど腹は立たないじゃないですか。
そこで経験を積んで、理不尽な上司に怒られながら、自分の売りたくない商品を売り、人を使い使われる、そういうところで人間は成長するものです。
ただ単に勢いだけで起業すると、苦労も成長もないので、まず成功しません。
おまけとしては、ブラック企業は別の角度から見ればすぐに管理職になれる職場なので、3年とか5年と決めて入れば、そこで学べることは非常に大きいです。
起業したいという気持ちだけで起業したって、そこに何の障壁もないのですよ。
起業に燃えている人はこれを読んで不愉快に感じると思いますが、その不愉快に感じる所に敢えて身を投じて、大きく成長してから起業して欲しいです。
そうしないと失敗すると思いますし、人間は「居心地の悪い環境に身をおくこと」で初めて成長します。
楽しく夢があるだけの起業は、絶対にあり得ないことを覚えておいて欲しいです。

大河原
有難うございました。
以上でインタビューを終わらせて頂きます。

インタビュアーより

bord-netburst

これまでインタビューさせて頂いた経営者様の中で、経営者になる前にどこかに就職すべきだという理由を事細かに説明して頂いたのは永野代表が初めてで、代表自身のエピソードも交えられたことで、より説得力あるものに感じました。
また、私もSNSを日常的に使用しているので、永野代表のお話には、非常に納得できるところがあると同時に、マーケティングの視点で使うことでより深いところまで知れることを一際感じました。
スケッチブックにお書き頂いた「王侯将相いずくんぞ種あらんや」の言葉には、SNSの隆盛により、マスメディアだけでなく個人が情報を直接発信して世界に大きな影響を与え、情報の上流に立つことができるようになり、情報の世界では誰もが「王」や「将軍」になれる可能性があるという意味が込められています。
SNSに限らず、世の中の様々な物事について「どうしてこうなったんだろう」と考えながら、観察力や発想力を深め、将来に活かせるようになりたいと思います。
大河原慧

next

次回インタビューは、ライティングオフィスMISTELTEIN 尾関 恵一 代表にお伺させていただきます。

会社概要

社名:ネットバースト
代表:永野 護
住所:愛媛県松山市大手町1-14-2 井内ビル2F/3F コワーキングスペース ダイヤモンドクロス内
事業内容:・IT/WEBサービス専業アフィリエイター ・SNSメディア構築

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