「若いうちに大都市で経験を積んでください」

齋藤代表と和紙の将来

大河原
会社を残すということは、内子の和紙作りの技術や文化を後世に伝えることでもあると思いますが、これからも時代の流れに受け入れられる製品作りを通して、齋藤代表が実現させたい夢や目標などはございますか。

齋藤
目標ですか。
私がここに入った当時は、紙漉きの職人さんが3名しかいなくて、高齢化も進んでいたのですが、ここ1，2年で女性の若い職人さんが2人増えました。

大河原
将来の後継者候補ですね。

齋藤
そうですね。伝統的な技術が次の世代に継承されて、雇用を生める産業として残る手助けをしていけるようになりたいと思っています。
あとは、やはりこれもいい機会なのですが、日本市場だけでなく世界でも売っていきたいと考えており、アメリカやヨーロッパ、中国に売り込みを掛けています。
これからは海外も舞台に和紙の製品を売っていきたいですね。

大河原
なるほど。海外進出ということですが、海外の方から見て日本の和紙の印象はどのようなものなのでしょうか。

齋藤
ガボーさんと交流があるので、パリでの展示会にもよく出すのですが、印象はいいと思いますよ。
そもそもヨーロッパ人は紙というものが好きな民族らしくて、その中でも、一枚一枚天然の材料を使った「Hand crafted Japanese paper」には結構ファンが多くて、市場的には意外と面白いと思います。

大河原
先日、美濃和紙などの手漉き和紙の技術が無形文化遺産に認定されましたが、内子の和紙にとっても追い風になりますね。

齋藤
そうですね、認められたということは、和紙産業全体にとっても非常に前向きな話題だと思います。

大河原
海外で外国人をターゲットにするとなると、日本とは違った製品を考えていくことになるのではないでしょうか。

齋藤
そうでもないと思います。
お皿や和綴じの帳面も普通に売っていますし、実は紙製品ってユニバーサルデザインというか、世界中で使えるものが多いので、「フランスだけの商品」というようなものはありません。
さすがにポチ袋がフランスで売れるとは思わないですが(笑)

大河原
確かに言われてみれば、紙というのは世界中どこにでもあるものですね。
会社としてのビジョンをお聞きしましたが、今度は齋藤代表ご自身が将来どのような経営者になりたいかということをお聞きしたいと思います。先程、坂本龍馬が好きだとお聞きしたので、やはりいずれ坂本龍馬のようになりたいと考えていらっしゃるのでしょうか。

齋藤
私が知っているのは司馬遼太郎の本に書かれた坂本龍馬なのですが(笑)
しかし彼のように、世界で仲間を作ってドンドン大きなことをしていく志を持って行ければいいですね。
ただそうなるにはまずは会社を大きくしていかないといけないと思うし、私自身ももっと修業が必要だと感じているところです。
目標となる人物については、他の方からもよく言われることがあるのですが、既に伝統工芸で世界で活躍している方が大勢いらっしゃるので、そのような方を見習いながら、少しでも彼らに近づけるよう成長して行きたいと思います。